エルダー2021年9月号
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2021.92京葉銀行 執行役員 人事部長渡辺聡子さんり組まれることとなったきっかけを教えてください。渡辺 その背景には、平成初期に新卒者の大量採用が続き、指導者が足りないという声が各部署から上がっていたことがあります。60歳定年を迎える年代の行員は、業務経験が長く、また役職定年制により55歳で役職を離れており、若手の指導をお願いするにはうってつけの条件を備えていたのです。 スタッフ行員制度は、60歳の誕生月の翌月から1年ごとに契約を更新し、65歳に到達するまでという年齢上限を設けてはいましたが、実際には配属部署からの要請がある場合に、個別対応で65歳以降も継続雇用を行っていました。しかし、その運用を部署ごとの判断に委ねることで不公平感が生まれる懸念がありましたので、継続雇用の基準や、65歳以上のスタッフに期待する役割、そのほかの勤務条件などを明確にするために、70歳までの「シニアスタッフ行員制度」として制度化し―2018(平成30)年7月から、70歳を上限とする新たな継続雇用制度「シニアスタッフ行員制度」を導入されました。導入のねらいについて教えてください。渡辺 当行の定年は60歳ですが、継続雇用制度は1993年から導入していました。「スタッフ行員制度」と呼んでいます。導入後に上限年齢を徐々に延ばし、法律が定めたスケジュールより早く、希望者全員を65歳まで継続雇用していました。 かつての銀行業界では、60歳定年制度下でも、55歳前後で他社に転籍させる前提で人事管理を行うところが多かったようですが、当行にはそうした慣行がなく、ほぼ全員が定年まで勤め上げ、その後もスタッフ行員として働き続けるのがあたり前という風土が定着していました。―希望者全員65歳までの雇用確保措置を義務とする法改正が行われたのは2012年(2013年4月施行)ですが、先駆的に取たのです。 制度化される前に65歳以降も継続雇用されていたシニアは「OBパート」と呼ばれていましたが、制度発足時にその方々もシニアスタッフ行員に移行できることとし、かつ、すでに当行を退職した70歳未満のOB・OGもこの制度の対象としました。―65歳以降、シニアスタッフ行員として再雇用される際の基準は、どのようなものなのでしょうか。渡辺 基準として7項目を明示しています。例えば「スタッフ行員として65歳の雇用契約期間満了まで勤務実績があること」、「継続して勤務する希望があること」、「前年の評定が一定以上の評価であること」などのほか、健康状態や出勤率といった内容で、ほとんどの人が達成可能なレベルです。これまで継続勤務を希望された方のほぼ100%がシニアスタッフ行員として雇用されています。―シニアスタッフ行員はどのような業務を担当し、どのような役割が期待されていますか。渡辺 60歳からのスタッフ行員も、65歳からのシニアスタッフ行員も、業務内容は原則としてそれまでと変わりません。現場も、業務運用で行っていた65歳以降の雇用を制度化、再雇用基準と期待役割を明確に

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