エルダー2021年9月号
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2021.938同年代より健康で若々しいのですが、年々体力の衰えや健康面での不安を抱える方も増えてきています。昨年10月の訪問の際は、その点をふまえ健康面や体力面での配慮や就労場所での安全管理をさらに一歩進めてもらいたいとアドバイスしました」定年後は希望するペースで勤務が可能同社でボイラー技師として活躍する最高齢社員、定年後も変わらず本店長の職務を遂行する高齢社員のお2人にお話を聞きました。松田健一さん(78歳)は、2005年9月に入社し、勤続16年目を迎えました。専光寺工場に勤いて芸道の経験が活かせる場が多く、みなさんが自主性を持って活き活きと働いています」(森岡さん)また、店舗以外に和菓子製造でも高齢社員が活躍しているといいます。森岡さんは「高齢者は覚えやすい作業や、軽作業を希望する傾向があると思います。例えば、当社には製造工場から各店舗に配送する業務があり、担当する3人全員が60歳以上の男性です。車両の運転と荷下ろし、という比較的簡単な軽作業は、若い世代に任せるとすぐ飽きがくるようで続かないことが多いのですが、高齢者にとっては反対に働きやすく、続けやすいようです」と話します。ほかにも、製造工場での製品の袋詰めや箱詰めなど、くり返しになる単純作業が好まれていて、勤続年数が長くなっているとのこと。こうした年齢層による好み、適性により高年齢層と若年層との棲み分けができているようです。岡田プランナーは、森八の高齢者雇用の取組みについて、「事業主の多くは60歳から65歳まではフルタイムで働いてほしいと考えますが、同社は定年後、短日・短時間の選択制にする制度が構築されており、柔軟な雇用契約が可能となっています。高齢社員にとってこのような配慮が、長く勤め続けられ、がんばろうと思うポイントになっていると思います。いまの60歳以上の方は一昔前の勤めてもらうために取り組んだ結果、各賞を受賞し、認定されるに至りました。若い女性社員は結婚、出産、育児というライフイベントを機に退職する傾向がありました。さらに、土日、祝日、ゴールデンウィーク、年末年始が多忙なため、休暇が取りづらく、小学生以下の子育てをする若い社員には働きづらいところがありました。そこで20数年前から契約社員の中途採用を行ったところ、子育てが一段落した40歳以上の女性が多く入社し、彼女たちが長く勤めてくれたことで現在60歳以上の方が増え、店舗の主力となって働いてくれています」同社の定年年齢は60歳。希望者全員を65歳まで毎年の契約更新により再雇用することを規程に盛り込んでいます(就業規則の定めはないが、66歳以上まで雇用する慣行あり)。さらに、定年後は勤務日数と勤務時間をほぼ本人の希望通りに選択できるようにしています。芸道に通じた中高年層が売り場で大活躍城下町として栄え伝統文化が息づく金沢という土地柄もあり、中高年者の社員には華道、書道、茶道の師範や経験者が少なくなく、彼女たちのキャリアが店舗で活かされています。「熨の斗しを手書きしたり、店に花を生けたり、お客さまにお出しする抹茶を立てたり、和菓子を販売する場におボイラー技士として働く松田健一さん

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