エルダー2021年9月号
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エルダー49活動事例NPO法法人生涯現役で働きたい人のための社会貢献につながる職場同法人の職員数は80人。一般および嘱託職員の定年は60歳で、定年後は希望者全員65歳まで再雇用され勤務が可能。65歳超は、嘱託社員として継続雇用が可能で、上限年齢は定めていない。また、移住相談などに対応する専属職員の定年は65歳で、65歳超は嘱託職員として契約する。現在、60歳以上の職員は10人で、主に専属職員として相談業務で活躍している。職員の採用について高橋理事長は、「それまでに経験されてきたことや話を聞く力などをみて、適性を判断して決めています」と明かす。専属職員の経歴は、編集者やテレビ番組の制作、キャビンアテンダント、福祉職員など多様だ。また、「資金が潤沢にある法人ではありませんので、この活動を通して社会に貢献したい、そんな思いを抱いて入職する人が多いと思います」と高橋理事長。さまざまな経験を持つシニアの活躍に、今後も期待しているとも話す。「人と地域」、「人と人」をつなぐ仕事福井県専属移住相談員の神かん林ばやし孝こう一いちさん(67歳)は、3年前、64歳でふるさと回帰支援センターに入職した。相談員として基本的に週5日、JR有楽町駅前の東京交通会館8階にある「ふるさと回帰支援センター」に勤務。福井県へ移住を考えている人の相談や、自治体・関係団体との連絡調整、情報交換などに対応している。「私の役割は、人と地域、人と人とをつなぐこと。主に福井県での暮らし全般の相談にのっていますが、相談される方も内容もさまざまで、対応する期間もお一人ずつ異なります。ときにはたいへんなこともありますが、まず、相談される方と私自身がつながり、移住をされてからは地元の方々とつながり、安心して暮らしていらっしゃる様子に触れたとき、私も嬉しくなり、やりがいを感じます。いまここで、この仕事ができることが私にとって喜びです」と神林さんはにこやかに現在の仕事を語る。神林さんは総合出版社を57歳で早期退職した後、新潟県の移住相談員として転職し、同県のアンテナショップに勤務した(ふるさと回帰支援センターとは別組織)。長年勤めた出版社では、企画部門で地方自治の振興に寄与する業務にたずさわり、全国各地へ出張するなか、一つの地域にじっくりかかわるような仕事がしたいと考えるようになった。新潟県の移住相談員になったのは、そんな気持ちからだった。新潟県の仕事をするなかで、「ふるさと回帰支援センター」をよく知るようになり、前職の任期満了後、現在の職場の求人に応募して採用された。いまの仕事は、神林さんのキャリアが活かせる内容のうえ、入職後も研修や勉強会、他府県の相談員との交流などでスキルを磨く機会があり、自信を持って臨むことができているという。定年は65歳だが、継続して働くことを希望する場合、書面で仕事ぶりを自己評価し、センターの上長らとキャリア面談したうえで継続雇用が決まるという。「移住は、人生にとって一大事です。そのことにかかわる責任の大きさを常に感じる仕事ですが、体力が続くかぎりたずさわっていきたい」と神林さん。誠実に仕事に向き合い、そのなかで出会う人や多様な出来事が、神林さんの人生を一段と豊かにしている。福井県専属移住相談員の神林孝一さん。「ふるさと回帰支援センター」には、各都道府県専用のブースがあるほか、移住に関するパンフレットなどが常設されている

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