エルダー2021年9月号
52/68

株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之人事用語辞典■■■■■■■■いまさら聞けない 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者なら押さえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。2021.950今回は役員について取り上げます。会社であれば必ず役員はいますし、だれしも聞いたことのある用語だと思います。しかし、具体的にどのような存在でいかなる役割をになっているのか意外と整理されていません。高齢者雇用の観点からは、大手企業の経営幹部や高度な技能を持った高齢者が、中小規模の企業の役員または相当する地位として迎え入れられるケースもみられます。今回は、役員の定義や種類、知っておくとよいテーマについても触れていきます。役員の種類は法律によって異なる役員とは何かを辞書でみると、おおよそ「経営の監督」、「業務執行」、「会計監査」などを受け持つ幹部職員といった記載がみられます。役員の種類として最も一般的なのは取締役ですが、役員の範囲は法律によって異なります。会社の組織・設立・運営管理などを定めた会社法によると、役員の種類は取締役のほか、会計参与・監査役が定義されています。会社の会計などの計算に関する事項について定めた会社計算規則によると、執行役が加わります。さらには、会社法の細かい取り決めをする会社法施行規則によると、これらに理事・監事・そのほかこれらに準ずる者が加わります。誌面の都合上、株式会社の代表的な役員に絞って各々の役割や設置条件をみていきたいと思います。・ 取締役…経営や業務執行に関する意思決定と、それらが適切に実行されるかを監督する役割が基本ですが、実務上は業務執行の役割をになうこともあります。株式会社は必ず1人以上を設置する必要があります。なかでも会社を代表する権限と責任を持つ者を代表取締役といいます。・ 執行役…取締役と役割を分離して、業務執行に特化した役割をにないますが、指名委員会等設置会社という特別な形態をとる会社にのみ設置することができます。この場合、取締役は業務執行を行わず意思決定と監督に専任します。取締役と執行役の兼任も可能です。・ 監査役…取締役の業務執行や会社の会計が適切に行われているかを調査し、不正があった場合は指摘したり止めたりする役割で、原則設置は任意です。ただし、会社の資本金5億円以上、または負債総額200億円以上の大会社では設置が必須です。・ 会計参与…取締役と共同して、会社の会計に関する計算書類などを作成する役割で、公認会計士や税理士の資格を持つ者が就任できます。監査役を置かない会社が会計の正確性の確保を目的に設置することができます。「役員」第16回

元のページ  ../index.html#52

このブックを見る