エルダー2021年9月号
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■■■■■■■■人事用語辞典いまさら聞けないエルダー51執行役と似て非なるもので執行役員を設置している会社がありますが、両者は異なる存在ですので注意が必要です。執行役は法律上定められた役員ですが、執行役員には定めがありません。よって、執行役員は設置も役割も会社が自由に設定できます。当初は取締役の意思決定・監督と業務執行の役割を分離したアメリカ企業の役員制度を参考に導入された経緯がありますが、現状では従業員の最高役職や、取締役候補としている会社が多くみられます。役員について知っておきたいテーマここまで、複雑な話をしてきました。以降はもっと身近な話題について述べていきます。①社外取締役大学教授や弁護士、著名人などで「○○株式会社 社外取締役」という肩書をみたことがあるかと思います。親子会社の役員や従業員でない、近い親族でないなどの要件を満たす、会社との利害関係がない社外から迎えた取締役をさします。代表取締役が不正をしたり、適切でない会社方針を執行しようとしたりしても、力関係のなかでほかの取締役が指摘しにくいことが実態としてあります。このような状況を是正するため、客観的な観点で経営を監視し、意見をいうための存在が社外取締役です。例えば株式の上場会社など、経営の透明化がより求められる会社は設置が義務化されています。社外取締役を選ぶのも当該企業であるため、有効性に疑問が持たれることもありますが、例えば2016(平成28)年の大手流通チェーンの〝カリスマ〞会長の退任には社外取締役の役割が大きかったといわれて注目されました。②役員の〝役職名〞役員の名称として社長や専務といったものをみたことがある方も多いと思います。これらを役職名と呼んだりしますが、実は法律上の定義はありません。役員の経営トップへの近さ(格)を示すものとして一般的に使われています。したがって、この名称の使用有無は会社の自由ですし、専務取締役・専務執行役員のように取締役・執行役員のどちらとセットで表記するのかも会社によります。ただし、社長を会社のトップとした場合、社長への近さは副社長・専務・常務・役職なしが一般的な順番となります。このほか、CEO(最高経営責任者)やCOO(最高執行責任者)といった役職名をみたことがあるのではないでしょうか。こちらも法律上の定義はないのですが、役員としての業務執行上の役割を示す使われ方をします。そのため執行役員とセットで表記されることが多いです。例えば、経営の最高責任者としての役割をになうのがCEOですが、このほかにCOOやCFO(最高財務責任者)、CTO(最高技術責任者)あたりがよく使われます。③役員報酬毎年6月から7月にかけて役員報酬が話題になります。上場会社でかつ役員報酬1億円以上の役員については、有価証券報告書で役員の氏名や具体的な報酬額の個別開示が義務とされています。本稿執筆時の2021(令和3)年7月14日時点では個別開示253社、544人という状況です。最高額は18億8200万円ですが、上位10人のうち日本人は3人と外国人役員が多くを占めています(東京商工リサーチ調べ)。高額報酬者のうち外国人役員が多くを占めるというのは例年の傾向で、高い報酬額でなければ優秀な役員をグローバルから採用できない、日本の役員の多くは社員との給与の連続性で設定されることが多く、他国と比べて低めの水準になるなどの理由が背景にあります。なお、ここでの役員報酬には給与・賞与・退職慰労金といった現金報酬のほかにストックオプションなどの株式報酬も含まれます。☆  ☆今回は「役員」について解説しました。次回は「時間外労働」について取り上げる予定です。

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