エルダー2021年9月号
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2021.952中年期からニーズが上昇傾向調査は40〜70代を対象に、定年後の生活に対してどのような意識やイメージを持っているか実態を把握しようと、2020(令和2)年6月、2021年3月の計2回、インターネット上で実施した。仕事やボランティアといった広義な意味での「社会参加」に対する意識についてたずねたところ、「いつまでも何らかの社会参加はしたい」と回答した人は24・5%で、「特にない」を除くと最多だった(図表1)。また、2番目に回答が多かった「社会参加でいつまでも生きがいをもちたい」も含めると、50代以降は各世代で前向きな回答が40%を上回り、中年期から高齢期にかけて社会参加や生きがいへのニーズが上昇していく傾向も読み取れた。一方で、3番目に多かった「社会参加はやはりお金を稼ぐことが最大の目的」と回答した人は、50代、60代、70代と徐々に低下。社会参加への動機が経済的な理由ではなく、精神的な充足感を重視している傾向も浮き彫りになった。同研究所は「50代以上の世代はお金が一番というよりも生きがいや、いつまでも社会参加すること50代からは「社会参加」で生きがい若者世代を応援する存在に人生100年時代未来ビジョン研究所レポートよりを求めている。稼げればそれに越したことはないが、年金もあるためではないか」と指摘する。転職、地域貢献、NPOで、人生経験を活かすまた調査結果からは、大人世代(中高年齢層)が若年層との交流や協力について肯定的にとらえていることも明らかになった。理想的な大人・時代に関する質問で「若者世代を応援することで、若者世代からも新しく社会的にも意義のある文化や潮流が生まれる時代が望ましい」とポジティブに回答した人は計73・3%を占め、な少子高齢化が進む日本では今後、定年後も再雇用や転職で働き続けたり、非営利団体での活動に汗を流したりするシニアが一層増えていくとみられます。そこで本稿では、ミドル・シニア世代に関する調査研究に取り組む「人生100年時代未来ビジョン研究所」が実施した定年後の意識調査を紹介するとともに、シニアが考える生きがいや将来世代への思いについて、同研究所所長で本誌編集アドバイザーでもある阪本節郎氏に解説していただきました(編集部)。

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