エルダー2021年9月号
6/68

2021.94京葉銀行 執行役員 人事部長渡辺聡子さん―スタッフ行員もシニアスタッフ行員も、業務内容は原則として定年前と変わらないということですが、働き方や賃金などはどうなりますか。渡辺 スタッフ行員は原則としてフルタイム勤務(月150時間)ですが、業務内容または本人の希望によりミドルタイム勤務(月105時間)となる場合もあります。シニアスタッフ行員は、原則がミドルタイム勤務となり、場合によってはショートタイム勤務(月75時間)とすることも可能です。時間数の違いは出勤日数の違いであり、月の所定労働時間が短くても、1日の勤務時間はフルタイムと変わらないので、期待する役割の遂行に影響はありません。 また、店舗間異動はありますが、転居をともなう転勤はありません。もともと当行では現役行員でも、転居をともなう転勤はほとんどありません。最近はお客さまとの長いお付き合いを重視する地域密着型の営業が重要になっていることもあり、短期での店舗間異動は減る傾向にあります。 賃金面では、スタッフ行員とシニアスタッフ行員の給与は職務給だけになります。6〜7ランクの等級があり、業務内容に応じてランクを決めますが、ランクが異なっても、水準の差はそれほど大きなものではありません。能力評価は行いますが、職務給なので、仕事が変わらなければ、評価の結果でランクが上下することはありません。 なお、給与形態は、スタッフ行員は月給制で、シニアスタッフ行員は時給制になります。職務給のランクが同じであれば、時給換算した給与額は、スタッフ行員もシニアスタッフ行員も同水準です。 定年退職後の継続雇用期間については、退職金はありません。また、現役時代に支給していた業績評価に基づく賞与もありません。その代わりに、スタッフ行員・シニアスタッフ行員の仕事の成果に対する処遇として「メリット配分」と呼ぶ報奨制度があります。金融商品の販売、新規法人の開拓実績などの成果に対して、1回50万円を上限に年2回支給する仕組みです。―シニアスタッフ行員制度を導入して3年が経ちました。成果と今後の課題をお聞かせください。渡辺 65歳を過ぎても職場で役割を持ち、期待されているという点で、シニアのモチベーション向上の効果が表れています。職場からも、指導員として若手行員とペアを組ませることで渉外業務などの技能継承が効果的に行われていると好評です。 今後の課題は、人事評価によって仕事の成果が給与に反映されない現状をどう考えるかということです。65歳を超えると、健康状態やキャリア観などについて個人差が目立ってきます。それに基づく仕事への熱量の違いなどが、成果の違いにも表れます。このような成果の差を処遇に反映させるかどうかも、モチベーションに大きく影響しますから、今後の検討課題です。「期待されている」からモチベーションが向上成果の評価を処遇に反映させることが課題(聞き手・文/労働ジャーナリスト鍋田周一 撮影/中岡泰博)

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る