エルダー2021年9月号
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582021.9※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します太田差さ惠え子こ 著/日本経済新聞出版(日経ビジネス人文庫)/935円親の介護で自滅しない選択「団だん塊かいの世代」が75歳に達する2025年以降、介護職員の不足がより深刻になると同時に、働きながら親を介護する人がさらに増えていくと予測されている。本書は、介護に直面している人や近い将来もしかしたら、と考えている人はもちろん、親を介護する社員の離職を防ぐ手立てとして実用的な情報や考え方に触れておきたいという人事労務担当者にも参考になる一冊である。著者は、介護の現場を20年以上にわたって取材し、親の介護のために仕事を辞めたことを後悔している人や親の介護をきっかけに兄弟姉妹の仲が決裂した人や、離婚した人に出会ってきた。そうした取材経験などから、自分自身の人生を大切にしながら、「無理をしすぎず」、ときには「割り切って」、「発想を変えて」親を介護する方法を提案している。介護保険の申請の流れや介護保険のサービス内容、最初の相談窓口となる地域包括支援センターのこと、高齢者施設選びのポイント、介護にかかる費用といった情報とともに、仕事と介護を両立するための体制づくり、介護休業制度の使い方、また、遠距離介護で親を支える方法などもわかりやすく説いている。介護離職防止に役立つ情報や考え方も示す★ 本誌2017年12月号「特集 テレワークが創る多様な働き方」。当機構ホームページでご覧になれます。独立行政法人労働政策研究・研修機構編集・発行/1100円テレワークコロナ禍における政労使の取組新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともない、テレワークが緊急避難的に広がった。テレワーク自体は目新しい働き方ではなく、政府も「テレワーク・デイズ」などの機会を設けて普及に取り組み、本誌でも2017(平成29)年12月号の特集でテレワークを取り上げている★。しかし、広がる度合いがあまりにも急だったので、企業の現場で戸惑いがあるのも事実だろう。本書はこうした現状をふまえて企画されたもの。「テレワークの労働法政策」と「テレワークの現状と今後」という二つのレポートから構成されている。前者は濱はま口ぐち桂一郎氏の講演を収録し、テレワークをめぐる法制度や政策の歴史的な展開を振り返りながら、今年3月に公表された新たなテレワークガイドラインが策定されるまでの経過と内容が紹介されている。一方、後者は新型コロナウイルス感染症が企業や個人に及ぼす影響を把握するために実施した各種調査結果をもとにテレワークの活用状況が概観されており、急拡大の反動「揺り戻し」が起きていると指摘されるなか、テレワークが「ニューノーマル」となり得るかどうかにも言及している。手に取りやすいブックレット形式だが、内容は単行本に引けを取らず本格的だ。最新の研究成果を活用し、現状と課題を提示エルダー 2017年12月号検索

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