エルダー2021年9月号
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2021.962「リーダー格の人が、健康意欲の低い人を引っ張ってくれる効果を期待しています」と話す。日々の活動を記録・管理する「元気チャレンジ!」に対し、生活習慣の定着度合をチェックしふり返るための仕組みが、「ローソンヘルスケアポイント」だ。専用アプリから次のメニューのタスクを実行するたびに、Pontaポイントが付与される。① 健診チェック:定期健康診断の結果をアプリに登録し、自分の健康リスクを確認。② 生活習慣チェック:食事・運動・睡眠に関するアンケートに答え改善点をチェック。③ eラーニング:読み物とクイズで健康について学ぶ。④ 健康診断結果ポイント:健康診断でKPIの各項目が適正値であること(項目ごとにポイントを付与)。ローソンヘルスケアポイントの参加率は、アルバイトも含めた健保組合加入者約1万人のうち約15%にとどまっており、ほかの施策と連携させながら、参加者の拡大に取り組んでいる。産業保健スタッフの支援を強化した「ハイリスクアプローチ」ハイリスクアプローチには、ハイリスク者に対し会社が行う健康診断後のフォローと、健保組合が実施する「健康サポートプログラム」(特定保健指導)の二つがある。健診後のフォローについては、2018年にローソングループ健康推進センターを発足させ、専属の産業医・保健師を配置して対応を強化。その結果、2020年度のフォロー件数は2018年度と比べて13倍に増加している。「健康サポートプログラム」は、2017年度より特定保健指導※3の名称を変えて実施しているものだ。「ハイリスク者に対応するため、会社と健保組合の連携により、健診の速やかな受診を働きかけ、対象者を早めに特定し対応しています。ハイリスクの人は、せっかく〝卒業〞しても数年で戻ってくるケースが多く、ポピュレーションアプローチを強化することで、健康意識を保ち続ける仕掛けも重要だと考えています」(四方田氏)SV(営業職)の肥満解消のためスポーツ大会との連動企画を実施同社では、肥満(BMI30以上)該当者の3分の2を支店勤務のSV※4(スーパーバイザー)が占めている。原因として、店舗巡回を車移動で行うことが多く、運動不足や生活も不規則になりがちなためではないかとみられている。2019年下期に、初めて部署別対抗で実施した「元気チャレンジ!」は、4000人を超える過去最高の参加人数を記録したが、その稼働率をみると、本社等の87%に対し、支店は18%と低調だった。そこで2020年は、同社が毎年実施しているスポーツ大会と連動した「元気チャレンジ!」を実施。スポーツ大会は、SVの人たちも一致団結して練習に励むなど、健康増進に積極的に取り組める機会となっているからだ。コロナ禍のため、同年のスポーツ大会はリモートでの実施となり、新幹線の七つのコースからチームごとに一つのコースを選び、そのコースと同じ距離を56日間で歩くという企画を実施した。コースによって距離が異なり、最長の東北新幹線(674・67km)なら1日の平均歩数は1万5060歩、最短の北海道新幹線(148・79km)なら3321歩となる。「一律の目標ではなく、各チームで目標を選べるようにしたことで取り組みやすくなり、支店の稼働率は52・1%に向上しました」(四方田氏)また、SVは車での移動が多く、スマートフォンでアプリを操作するのがむずかしいことから、腕時計型のウェアラブルデバイスを配付し、睡眠や歩数などを見える化する実験を約60※3 特定保健指導生活習慣病予防健診(特定健診)を受けた後に、生活習慣の改善が必要な人に行われる保健指導※4 加盟店の経営コンサルティングを行う職種

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