エルダー2021年10月号
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特集令和3年度 高年齢者活躍企業コンテストを元気に唱和。さらに、会社の目標や取り組むべきテーマをまとめたクレドカードを作成しており、各部署で朝礼時に読み合わせを実施している。全従業員が参加することで同じ目的意識・一体感を持って業務に臨めると、従業員には好評である。③安全衛生社内に設置されているCSR「多様性チーム」のメンバーが、当機構主催の高年齢者雇用促進セミナーに参加した経験を活かし、安全衛生委員会と共同でエイジフレンドリーの取組みを開始した。「安全巡視チェック表」に転倒などによるリスク項目を追加するなど、高齢従業員が安心して働ける職場環境づくりを目ざしている。(4)そのほかの取組み自身の体調や子育て・介護などの事情により毎日の出社がむずかしい従業員や、起業ニーズのある従業員からの要望に応える形で、10年以上前から従業員の多様な働き方の支援に取り組んでいる。現在までに会社から独立し、業務請負に転換した者が4人おり、独立時の煩雑な諸手続きをサポートするために解説書を作成するなど、会社が独立に向けた支援を行っている。(5)高齢従業員の声最高齢従業員の石川長ひさ子こさん(73歳)は、2017年7月に範師に就任。豊かな経験と技術を次の世代に引き継ぐ役目をになっている。「範師」および「ものづくりマイスター」として、新人従業員への技術指導や製造補助用具製造にたずさわる石川さんは「『後輩のために』を一番大切に考えています。私の指導で試験に受かってくれることが何より嬉しいですね」と笑顔で語る。創業当初より製造部門のスペシャリストとして勤務してきた平澤宮子さん(62歳)は、製品製作に20年以上従事。「昔ほど細かい作業は得意ではなくなりましたが、若い従業員たちが協力的で、職場の雰囲気もよいので、長く仕事を続けられています。新しい製法を覚えて製品が完成するのが楽しいですよ」と話す。その背中を次代をになう若手従業員が追いかけている。(6)今後の課題韮崎市では農業のにない手の高齢化や後継者不足による耕作放棄地の増加が問題となっていることに鑑み、高齢従業員や障害のある従業員などの将来の就業の場として、身体に負担の少ないIT農業分野への進出を検討している。一方、他企業を退職した知識・経験豊かな高齢者を引き続き積極的に採用し、組織として未成熟な部分を補うとともに、若手・中堅従業員の育成を予定している。また、新工場のバリアフリー化を視野に置いて、高齢従業員が安全で安心して働ける職場環境の構築はもちろん、山梨県の「やまなし心のバリアフリー宣言事業所」に登録し、全従業員に多様な特性を持った人(高齢者・障害者・妊婦など)との接し方を指導し、共生社会の取組みにも努めていく。膨大な課題を一つひとつクリアしていくために、全社をあげての新たな挑戦が続く。エルダー11若手の指導にあたる最高齢従業員の石川長子さん(左)朝礼で実施しているラジオ体操の様子

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