エルダー2021年10月号
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特集令和3年度 高年齢者活躍企業コンテスト4職員の高齢化を見越した最新の介護機器の導入など、職員の負担を軽減し生産性を上げるための投資を積極的に行っている。企業の沿革・事業内容Ⅱ同社が所属する府洲グループは、五つの法人(医療法人府洲会、社会福祉法人いろどり福祉会、株式会社アールビーサポート、株式会社食彩浪漫、株式会社府洲ホールディングス)からなっている。1997年、三重県津市に医療法人府洲会「介護老人保健施設ロマン」が開設され、以降、高齢者人口の増加にともない多様化するニーズに対応するため、介護保険制度内のサービス提供にとどまらず、給食・配食サービスや買い物代行サービスなど事業を拡大し、社会貢献を図っている。株式会社アールビーサポートは1999年に設立され、介護付き有料老人ホーム「昭和ろまん」と、サービス付き高齢者向け住宅「安濃津ろまん」を運営している。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方Ⅲ同社における職員数は男性37人に対し、女性が107人と圧倒的に多い。全職員144人のうち高齢職員は27人(約19%)で、最高年齢者は73歳である。創業してから比較的年数が短いため、高齢職員の人数は多くはない。介護業界では慢性的に人手不足となっているが、同社は求人活動に工夫を凝らして人材を募集してきた。例えば、求人媒体に「定年年齢66歳、継続雇用年齢上限なし」という文言を大きくうたい、ホームページのデザインも一新。スタッフの動画や、募集職種・各種手当を一覧にするなど、求人ページを大きく改善した。これが功を奏したのか、2020(令和2)年は1年間で面接者数199人のうち60歳以上が39人、採用者数58人のうち60歳以上が13人という成果をあげた。人手不足という状況にあっても優秀な人材には年齢にかかわらず長く働いてもらうことが重要と考えている同社では、魅力ある職場と感じられるよう福利厚生面を充実させている。「自分の歳は自分で決めるべき」という理事長の理念が、年齢にかかわらず働ける制度や環境の整備につながり、相乗効果で優秀な人材の確保を可能にしている。改善の内容Ⅳ(1)制度に関する改善▼定年制と継続雇用制度同社の所属する府洲グループでは、全法人共通の定年・継続雇用制度と就業規則を導入している。2015年、2017年の2度にわたり制度を改定し、高齢職員の雇用制度を拡大。現在は定年66歳、希望者全員70歳までの継続雇用制度を導入している。正規職員については、定年後は「嘱託職員」という区分になるが、勤務日数や勤務時間などで本人が希望すれば、パート職員となることもできる。▼賃金制度と評価制度以前は、60歳に到達した後は賃金を一定割合減額し、昇給も停止していたが、60歳に到達した高齢職員のなかには、モチベーションの低下がみられ、退職者も出た。そのため、2017年の制度改定を機に、60歳時点での賃金引下げと昇給停止を廃止し、定年まで昇給することとした。エルダー13サービス付き高齢者向け住宅「安濃津ろまん」

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