エルダー2021年10月号
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前は店舗拡大が積極的に行われていたので、登用試験を経て全員が新しい職位に就くことができた。しかし、近年、大規模な店舗拡大が止まって店長ポストが不足。店長になった人となれなかった人が生まれた結果、実際のポストが異なりながら両者の処遇が同じになるという不公平感を是正する目的で新たな制度にした。▼希望するエリアでの勤務可能制度導入2006年の65歳までの継続雇用制度導入時に、継続雇用者は希望するエリアで、継続して勤務できる制度を導入した。これにより、転勤はなく実家から勤務できるというライフスタイルを優先する働き方ができるようになった。▼定年後の再雇用制度定年後も70歳まで活躍できる定年後再雇用制度は本人が申請し、会社が再雇用することを認定する制度。継続雇用を希望した人のほとんどが基準をクリアしている。嘱託社員になると、同じ部署で従前のスキルを活かして継続勤務できる。再雇用者は、自宅から通勤できる店舗へ配属される。同社では、社員、時間給制社員の区分に関係なく、教育機会を均等に与えられる。制度導入後、8割の従業員がこの働き方を選択し、定年までに得られたスキルを新たな職場で活かしている。短縮勤務も可能なため、シニアライフを楽しみながら働くことができ、健康面と金銭面の両方で好評である。▼パートタイマー(コミュニティ社員)の定年延長2019年9月、パートタイマーの雇用上限は70歳で、待遇は現状のまま定年延長が可能になった。▼シニアアルバイト制度導入2020年に70歳定年に達した者(嘱託社員、コミュニティ社員)を特定の職種にかぎり、勤務延長する制度を導入した。延長職種は水産、畜産、惣菜技能者、薬剤師などで、自身の健康状態を把握していることを条件に、人材の採用難部門にかぎり70歳以降の再雇用を実施するもの。シニアアルバイト制度の導入に際し、70歳以上ということから、これまでの年齢層以上に体調の変化が懸念され、制度移行の対象者をどう判断するのかについて、労使で話し合った。どの年齢層でも病気や通院はあることなので、この年齢層のルールを改めて設定することはむずかしかったが、健診をきちんと受けて、必要な通院をしていれば自己申告でよいという結論になった。中高年齢従業員は、会社で長く働けることを理由に、この制度を前向きに受け止めている。社内では、ほかの職種でも同様の制度に対するニーズはあるが、社としては不足人材に対して高齢者だけではなく、若い人材も確保したいと考えており、いまのところほかの職種への拡大は考えていない。(2)高齢従業員を戦力化するための工夫▼ライフプランセミナーの実施ライフプランを作成して現在から未来を「見える化」することで、リタイア後の経済的不安を解消し、健康で生きがいのある生活を送ることができる気づきと動機づけを行うことを目的に、ライフプランセミナーを実施している。55歳以上を対象としたWebによる4時間コースで、受講者数は2018年が55人、2019年が76人だった。実施内容はセカンドライフの収入、支出や家計の見直し、退職後の手続きなど多岐にわたり、受講者からは満足の声が上がっている。▼自己啓発の推奨自己啓発に関しては、受講料の半額を補助する援助金制度がある。「全従業員へのお知らせ」により自己啓発(書籍代、通信教育代など)の費用に補助が会社から出ることを周知。2019年は72人、2020年には新型コロナウイルス感染症の影響で講座中止が相次ぐなか、23人が援助金を受けた。この制度は従業員のモチベーション向上に貢献している。▼技術向上のための各種セミナー開催年齢、雇用区分に関係なく受講資格があり、だれでも参加できる。二日市に自社専用の教育センターが設置されて、専任の技術トレーナー(水産トレーナー、デリカトレーナー、畜トレーナー)も配置されており、現場と同じ設備環境で訓練できる。新規採用の従業員は参加必須であり、合格すると手当もつく。資格取得者は2019年度が1053人(55歳以上271人)、2021.1018

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