エルダー2021年10月号
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特集令和3年度 高年齢者活躍企業コンテスト2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響でセミナー中止が相次ぎ、514人(55歳以上162人)だった。資格としては鮮魚士(3級、2級)、ホットデリカマスター、寿司マスター、ベビーアドバイザー、パンドラマスターなど幅広く網羅している。同社の人材育成は店舗でのOJTに加えて、教育センターでのOFF‐JTも行われる。(3)雇用継続のための作業環境の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み①健康管理従業員の心身の健康のため健康相談室を設立し、保健師を駐在させて全店を管理した。重点施策として、まず健康診断受診率の向上を目ざした。また優先度の高い従業員への保健指導を強化したほか、2017年からはメンタルヘルスの取組みに着手し、ストレスチェック受診率は少しずつ上昇している。さらに禁煙を推奨し、卒煙プログラムなども導入することで喫煙率は24・1%(2017年)から19・1%(2019年)にまで減少した。②安全衛生産業医による事業場のチェックを実施した。これは産業医活動マニュアルに基づく活動であり、危険な場所の改善指示を行うもの。職場巡視チェック項目に基づき月1回、職場巡視を行い、安全衛生委員会で報告される。高年齢労働者の労働災害発生率は若年労働者と比べて高く、原因の多くが転倒であることから同社では転倒防止策に注力している。予防策として、❶バックルームの整理整頓、❷定位置管理の実施、❸階段に踏み外し防止のための蛍光テープの貼り付け、❹暗いバックルームには蛍光灯を点灯、❺スイングドア(バックルームから売り場へのドア)を外開きから内開きにして衝突を防ぐことなどを重点的に実施した。(4)高齢従業員の声イオンモール福岡店で継続雇用2年目のAさん(男性)は、グループ企業勤務時を含め、衣料品販売を30年担当。その間、四国、大阪、岡山に転勤し、近年は福岡県内に配属されてきた。現在は食品売り場のバックヤードを担当。レジ打ち、パソコン入力、ギフト受付、商品の見切りなど初めての業務もあるなかで一つずつ精力的にこなしている。時間によって行う仕事が変わるので、スマートフォンのアラームをセットして対応。このほか、パートタイマーからの相談を聞くなど管理職のサブ的な仕事も担当している。「食品担当は初めてですが、お客さまやほかの従業員から質問を受けるため単語帳のようなものをつくって、用語などを覚えています。元気でいるかぎり働き続けたいです」と語る。(5)今後の課題同社は年齢や雇用区分に関係なく、従業員が在職中はその能力を十分に発揮できるようにサポートすることが働きやすい職場、ひいてはお客さまの満足へつながると確信している。従業員が自らのライフスタイルプランを十分に理解してもらうとともに、会社として生活様式に合わせて仕事ができる制度の周知を図り、途中退職することなく70歳まで元気に働くことを応援する企業風土の醸成を掲げて不断の努力が続く。エルダー19吊り広告の準備作業に取り組む高齢従業員のAさん転倒災害の防止啓発ポスター

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