エルダー2021年10月号
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特集令和3年度 高年齢者活躍企業コンテスト用者別のヒヤリハット報告書」を作成し、利用者ごと、従業員ごとのヒューマンエラーを排除する取組みを従業員が自主的に実施している。企業の沿革・事業内容Ⅱ1999年に法人設立後、2000年に訪問介護事業を開始し、小規模多機能型居宅介護施設、老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などを設立した。現在は岐阜県南部エリアを中心に7施設を運営している。「優れた見識と豊かな心で活力とゆとりある人間社会の構築に資する人材育成と事業の実現に貢献する」という経営理念のもと、高齢利用者約370人に対し、「『いつでも、どこでも、私らしく』その人の尊厳と利用者本位の自己決定に基づいた暮らし」の継続を支援している。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方Ⅲ同社の全従業員数120人のうち、60歳以上の高齢者の割合は39・2%となっている。内訳は60歳から64歳が11人(男性1人、女性10人)、65歳から69歳が10人(男性1人、女性9人)、70歳以上が26人(男性2人、女性24人)である。かつては65歳以降の継続雇用制度の骨格づくりまではできていなかったが、従業員が高齢化したこともあり、会社側は積極的に従業員の声を取り入れるようにした。従業員サイドの視点から物事を合議体で進めるという考え方のもと、従業員の高齢化や同一労働同一賃金、改正高年齢者雇用安定法(以下、「高齢法」)の施行といった社会情勢も考慮し、まず人事評価・賃金制度の改定に着手した。会議では必ず一人1回は発言するようにという社長の働きかけもあって、従業員から次第に意見が出るようになり、1年かけて人事評価・賃金制度を作成、2020年5月から導入した。この人事評価・賃金制度をふまえ、これまでの希望者全員65歳までとしていた再雇用年齢を2020年10月1日から70歳に引き上げた。同社は地域への貢献、地域とのつながりを大切にしており、「年齢に関わりなく、出来る人に、出来ることを、出来るだけ長く」という創業当初からの方針に沿って、今後も「世の中の動向」、「利用者・従業員のニーズ」に対し、常に高いアンテナを張りつつ事業を展開していくことを目ざしている。改善の内容Ⅳ(1)制度に関する改善▼定年延長・継続雇用制度①人事評価・賃金制度の改定少子高齢化や、同一労働同一賃金といった時代に合わせた制度改定を行うため、「どうすれば賃金を上げることができるか?」という観点から、従業員に対するヒアリングをくり返し実施。1年かけて人事評価・賃金制度を作成し、2020年5月に導入した。また、役割・業務が変わらない場合は、再雇用後も定年前と同じ賃金とした。これは高齢従業員のモチベーションを維持・向上させ、引き続き活躍してもらうことをねらいとしている。なお、評価に応じた賃金ランクの決定は、正規雇用やパートを含めた全従業員について、直属の上司と本人による二つの評価を経て本人と面談のうえ、最終的には取締役会で決定する仕組みとなっている。エルダー21事業所外観(陽だまりの宿)

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