エルダー2021年10月号
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②継続雇用制度の改定2019年度には60歳以上が17人(28・3%)と従業員の高齢化が進み、65歳以上の従業員も10人となった。こうした実態に合った制度に変えることが求められ、改正高齢法による70歳までの就業機会確保の努力義務化を意識して、高齢者活用による職場のパフォーマンス最大化を目ざすこととした。先に見直した人事評価・賃金制度をふまえて、2020年10月、継続雇用の上限年齢を希望者全員65歳から70歳へと引き上げた。なお、定年前には面談を行うが、従業員により面談のタイミングはまちまちである。従業員が体力的に辛そうに見えれば、早めに声をかけており、これまで定年で退職した人はいない。③短時間勤務制度等年齢にかかわらずスキル・能力に応じて活躍してほしいとの考えから、60歳定年以降も、また継続雇用上限70歳を超えてからも原則フルタイム勤務としている。一方、家庭の事情などで本人が申し出た場合には、短時間勤務・短日勤務制度を利用することができる。「家庭が一番」、「子どもが一番」という経営トップの理念を具現化し、プライベートを安定させ、仕事に集中できる環境を整えている。(2)高齢従業員を戦力化するための工夫①高齢従業員を手本とした人材育成81歳の従業員(訪問介護・ヘルパー職)が、業務に高い意欲と優れたパフォーマンスを示しており、「この人のようになりたい」と後輩従業員の目標となっている。また、夜間勤務に熟練した経験豊富な70代の従業員もおり、こうした一人でどのような業務も行える高齢従業員には、新人の若い従業員とペアで働いてもらうことにより、人材育成を進めている。若手・中堅や新人が経験・ノウハウを有した高齢従業員とともに実際に働き、その姿を傍かたわらで見てもらい、スキル・技能をOJTなどで継承していくことは人材育成の実現につながっている。②社内研修、外部研修による スキル向上・実践力向上管理者・責任者などを講師とした社内研修を毎月実施し、スキルおよび実践力の向上を図っている。社内研修用資料については手づくりで、現場で役立つことや、法的・制度的なことなどを盛り込むとともに、問題形式とすることで受講者自らが考えるように工夫しており、現場力・実践力を高めている。また、身近な講師が職場の実情に即した講義を展開することで、たいへんわかりやすい内容であると受講者から好評である。なお、直接受講した方が効果的と思われる外部組織の研修には積極的に参加させている。③資格取得支援資格取得に必要な費用は会社が全額負担するとともに、資格取得後は資格手当を支給するなどの待遇を改善し、有資格者として名実ともに活躍してもらっている。資格を持っていない介護従事者については、入社後に資格を取りたいという動機づけになれば、と会社がヘルパー資格などの取得費用を補助している。④独自マニュアルやOJTによる人材育成高齢従業員をはじめとした有スキル者の経験・ノウハウをマニュアルとして取りまとめ、標準化を図るとともに、OJTをあわせて実施して、実践力の向上を図っている。マニュアルはすべて現場の従業員が作成した同社独自のものであるが、マニュアル化により確実に技術・技能を継承できるだけでなく、施設間のサービスレベルの違いも解消でき、利用者満足度の向上につながっている。(3)雇用継続のための作業環境の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み①作業環境の改善浴室を改修し、入浴装置、リフトを導入して高齢従業員の負担を軽減した。また、車いすを買い換えて体力的な負担の軽減を図った。机の高さで操作できるロボット掃除機も導入している。②安全確保・事故防止ヒヤリハットの収集・展開により、事故防止を図っている。利用者別に「いつ、どこで、どのような、ヒヤリハットがあったのか」をグラフ化し、個々の利用者の状況に応じた注意すべ2021.1022

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