エルダー2021年10月号
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特集令和3年度 高年齢者活躍企業コンテストきない箇所に、バキュームリフトや自社製作の簡易的な昇降機を取りつけ、労力の軽減を図っている。6熱中症対策に注力し、屋外に給水機(ウォータークーラー)を設置し、また比較的室温の高い作業場に「熱中対策水」を常備している。企業の沿革・事業内容Ⅱ前原製粉株式会社は、明治末期に家業形態としての穀粉業から始まった。以来、主に白玉粉を製造してきたが、1933年には「赤穂義士」にちなんだ「義士印」を商標登録、1954年に法人化され現在の社名となり、穀粉を本格的に生産開始した。1965年から包装餅の生産も始め、着々と業容は拡大されてきた。1994年、無菌化包装餅工場を建設、その後、品質マネジメントシステムのISO9001や食品安全マネジメントシステムのISO22000を認証取得している。現在の主な商品は白玉粉などの和粉、包装餅、鏡餅である。白玉粉は100年以上の歴史があり、無菌化包装餅は「杵つき」のこだわりが消費者に高く評価されている。加えて北海道産馬ば鈴れい薯しょ澱でん粉ぶんのみの「片栗粉」や国内産大豆を主体に味にこだわった「きな粉」も供給している。法人化して以来、「社員の幸福と成長 能力・人格面での成長を全員が目指し、個人が尊重される風土を作る」という経営理念に基づき、高齢者はもとより障害者の雇用にも積極的に取り組み、2019年には障害者雇用優良事業所等表彰の全国表彰式において、従業員1人が優秀勤労障害者として、当機構理事長表彰を受賞している。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方Ⅲ同社の従業員構成は、156人のうち60歳以上の従業員が計40人で25・6%を占める。年齢別内訳は60~64歳が7人、65~69歳が18人、70歳以上が15人である。 同業他社に比べ、同社の高齢従業員の定着率が高い理由は、戦力となっている高齢従業員の能力を活用する観点から、体力負担の少ない職場環境づくりが進んでいることが背景にある。なお、若い労働力の獲得にも積極的に取り組み、毎年、高卒の新卒採用を行い、製造現場へ配置している。現在の平均年齢は48・7歳だが、将来的には高齢化が進んでいくことが予想されている。改善の内容Ⅳ(1)制度に関する改善▼定年制の改定2017年4月に就業規則を改定し、65歳を定年とし、定年後は年齢の上限なく希望者全員を継続雇用とした。高齢化時代の到来を見すえ、将来的に定年延長は時代の要請とされることを予見して決断した。▼勤務時間の柔軟化55歳以上を対象に、2021年1月に就業規則を改定して短時間勤務を制度化、短時間勤務を希望する者は労働時間を1日あたり1時間短縮している。以前からフルタイム以外の勤務を希望する従業員がおり、勤務パターンを固定化せず、本人の希望に応じて柔軟に個別対応していたものを、あらためて制度化したものである。エルダー25会社外観

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