エルダー2021年10月号
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半日勤務も可能で、勤務時間の柔軟化は従業員の定着化にも功を奏している。▼賃金制度年齢に関係なく能力評価により賃金を設定しており、73歳の高齢従業員の昇給例もある。高齢従業員も毎年能力を評価されており、年1回の面談で本人に希望を聞きながら、勤怠状況や仕事での能力発揮の程度などを評価し、賃金を決定している。なお、高齢期に能力が低下した場合でも賃金を下げることはなく、配置転換などで対応している。(2)意欲・能力の維持・向上のための取組み高齢者雇用については年齢に関係なく、本人の意欲と基礎的な体力があり健康であれば、継続して勤務することを認めており、同様に採用においても年齢で限定することはない。経営理念として高齢者を含めた全従業員の幸福と成長や、個人が尊重される風土づくりを目ざしている。主要な労働力は製造現場のパート従業員であり、多くは子育てを終えて40歳前後で入社した女性たちである。その後20年近く勤務している者が多く、定着率は高い。パート従業員の昇給に際し、年収が増加することで扶養家族から外れることを望まない場合は、年間の労働時間を調整することで対処している。例えば11月が繁忙期のため、その期間中に労働時間が長くなることを見越して夏に労働時間を短くするなどの工夫をしている。パート従業員のなかから契約社員に登用される場合、面接と試験などで選考している。▼総合相談窓口の設置高齢従業員のさまざまな悩みや相談に応えるため、「総合相談窓口」を設置した。相談者は管理職全員と産業医、社会保険労務士であり、高齢従業員が相談したい相手を選べるようにしている。特定の管理職に相談できないことでも、別の管理職に相談できるよう柔軟性を持たせ、匿名でも相談可能としている。また、従業員には年2回社長や管理職が、パートについては年1回各部門長が面談を実施し、従業員の状況を把握するとともにさまざまな相談に乗ることができる体制が確立されている。相談内容はさまざまで、全体では年金や社会保険、健康、仕事上の要望が多く、高齢従業員の場合は年金と収入の関係を気にかける者が多い。▼社内認定有資格者制度の実施同社では業務上の必要性から社内認定資格を20年以上前から設けている。食味官能検査員、きな粉官能検査員、測定機器社内検査員など14種類あり、ISO取得の取組みをきっかけに、高齢従業員や経験者などが有する技能・技術なども参考にしつつ、独自に体系化して作成した。品質管理強化の目的から当該業務に就くには社内認定資格を持つことを条件としており、事前に社内研修で有資格者が講師となって教育している。社外資格(公的資格)も20種類以上あり、ISO内部監査員やフォークリフト操縦などが該当し、資格保持者は一覧表にして社内に貼り出している。技能を持った高齢従業員が若手に指導する場合や社内のキャリア形成の指標として活用している。(3)雇用継続のための作業環境の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み①機器の整備原料の重量が社内製造品は30年近く前から1袋15を上限としているが、仕入れ品である和粉は1袋あたり20以上あるものがいくつかあることから、原料を投入する作業は体力的2021.1026原材料米を運搬する高齢従業員

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