エルダー2021年10月号
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特集令和3年度 高年齢者活躍企業コンテストな負担が大きかった。そのため、バキュームリフトや昇降機を導入した。②健康管理高齢従業員向けの法定健診に、大腸がん検診を追加した。その背景には協会けんぽ加入者には従来から大腸がん検診は用意していたが、未加入者もいたためである。また、腰痛体操や検診情報など健康管理に関する情報を逐次掲示し、年4回の全員対象のミーティングや社内SNSによる健康・安全意識の啓蒙活動で健康維持を支援している。また25年前から屋内喫煙を全面禁止にするなど、健康増進にも取り組んでいる。さらに、作業現場のなかには高温になる職場もあり、熱中症対策が必要なことから「熱中対策水」を支給している。これは水分や塩分などが補給できるパウダー状のもので、ペットボトルの水に溶かして使用する。給水器の台数も増やして、安全・安心に働ける職場環境を目ざしている。③福利厚生従業員の休憩室をリニューアルし、給茶機を複数台設置した。日本茶やコーヒーが冷・温から選べるほか、みそ汁も自由に飲めるようになっている。(4)高齢従業員の声最高年齢者のAさん(81歳・男性)は80歳で採用された。ハローワーク経由でパートに応募し、同社としては年齢的な不安があったものの、元気で意欲が高かったことから採用。現在、洗濯や清掃業務を担当している。本人はかつて自営業を営んでおり、働くことにはブランクがあったが、いまは働くことで生きがいも生まれている。「週4日程度で9時から15時までの勤務はライフサイクルに合っています」と語る。Bさん(73歳・男性)は他社を55歳で退職後、パートで入社し、勤続18年を誇る。現在は契約社員に登用され、フルタイム勤務をこなしている。業務は餅製品をつくる前工程のもち米の浸漬から蒸す工程を担当、まじめな働きぶりは若手従業員のよき手本となっている。(5)今後の課題意欲と体力があれば勤務が継続できるよう、ソフトとハードの両面での総合的な環境整備に努めて、高齢従業員が長く働くことができる職場づくりを今後も進めていく。同社の「日本一美味しい製品を作る」という確固たる理念を支えているのは、高齢従業員の豊富な経験と技能であることから、高齢従業員が十分にその能力を発揮できる職場づくりを重視しながら、総力でいっそうの高みを目ざしていく。エルダー27従業員が自由にくつろげる休憩室には畳や給茶機がある自動化がむずかしい工程に導入した自社製作の簡易的な昇降機

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