エルダー2021年10月号
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2021.102プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 代表理事平田麻莉さんくことが大事だといわれ、フリーランスの働き方について考えるようになりました。 私自身、その当時から人生100年時代は65歳以上になるとだれもがフリーランスになり得る時代がくるだろうと予想していましたし、それに備えるには当事者自らが声を上げる必要があります。政府もフリーランスに関する研究会を立ち上げましたが、悩みや課題について当事者の声が届けられていないという問題意識もあり、周りのフリーランス仲間と話し合って窓口をつくろうと考えたのです。おかげさまで設立発表会を多くのメディアに取り上げていただき、設立1週間以内に1500人以上の会員登録がありました。―どのような活動を展開されているのでしょうか。平田 私たちは「誰もが自律的なキャリアを築ける世の中へ」というビジョンを掲げています。みんながフリーランスになるべきとか、フリーランスを増やしたいと思っているわけ―「プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」は、どのような経緯で設立されたのでしょうか。平田 フリーランスの人たちの悩みや課題の解決を目的に、2017(平成29)年1月に設立しました。もともと私自身がフリーランスで広報の仕事を10年以上続けてきました。その間に出産をし、子どもを保育園に入れる「保活」を2回経験していますが、会社員と違い、フリーランスには出産手当金や育児休業給付金も出ませんし、保活も不利でした。出産・保活だけではなく、休業しても労災給付や傷病手当金が出ないなど社会保障の面で会社員との差も大きいのが実態です。当時の私は自ら進んでフリーランスを選んでいるし、自己責任だからと、特に不満も感じませんでしたが、その後、保活を終えた2015年ごろから「一億総活躍社会」や「働き方改革」が叫ばれるようになり、子育て中の人やシニアも含めて多くの人が細く長く働いていではありません。協会の名称に「プロフェッショナル&パラレルキャリア」とあるように、会社員を含めてだれもが自律的にキャリアをつくっていくための環境を整えたいという思いがあります。具体的には、働き方の選択肢を増やしていくこと、保険や福利厚生などのベネフィットプランを提供すること、実態調査などを行っています。政府に政策提言を行い、制度設計に協力し、その制度をフリーランスの人たちに伝えていくというサイクルを回していくことも私たちの役割です。―高年齢者雇用安定法の改正により、高年齢者就業確保措置としてフリーランスも選択肢の一つになりました。フリーランスの健全な育成を推進していくための課題とは何でしょうか。平田 業務委託契約にともなう契約トラブルなどの解消と、社会保障の二つの課題があると考えています。 契約関係については2021(令和3)年3月、私たちも作成に協力した「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」が公表されました。これまで仕事の契約では口約束が横行し、報酬金額は振り込まれるまでわからないといったトラだれもが自律的なキャリアを築ける環境を実現するための支援活動を展開

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