エルダー2021年10月号
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2021.1038二段階にしたのは、65歳を過ぎるといろいろな面で個人差が顕著になることから、半年ごとにその先の働き方を話し合う機会を持つことが最善だと考えてのことです。今回は、継続雇用制度を選択して活躍を続けるベテラン社員の方にお話を聞きました。部下と上司が逆転、ベテランの手本に現在、監査部監査課に在籍する参事の築ちく紫し博ひろ幸ゆきさん(65歳)は、益茂証券に勤めて42年。ファイナンシャルプランナーなどの資格を持ち、入社以来、営業一筋で活躍してきました。支店長や役員を務めて定年を迎え、定年後は営業の1プレイヤーに戻って63歳まで同じ道を走り続け、2年前から監査業務に従事しています。現在の役割は、同社を信頼し、期待を寄せる顧客に対応し、要望を聞いたり、証券の新情報を伝「基本給や職務給などは職種・業務内容に応じて定めており、勤務時間についても、希望があれば短時間での条件を提示するなど、柔軟な労働条件の提示に取り組んでいます」(朝香総務課長)。継続雇用制度を導入した2013(平成25)年から現在まで、定年を迎えた社員は5人で、全員が継続雇用されているといいます。村上プランナーは昨年、この継続雇用制度を高く評価し、「個々のライフプランに対応できる、より柔軟な定年制度」として、選択定年制や段階的定年延長の提案をしたそうです。同社ではそれを受け、より充実した継続雇用制度についてさっそく検討し、改正高年齢者雇用安定法への対応も含めて、今後65歳を迎える継続雇用者について、希望者全員70歳まで半年更新で継続雇用を可能とする新たな仕組みを構築。精査して、まもなく制度化するところです。これにより同社には、①60歳超〜、②65歳超〜の二段階の継続雇用の仕組みが整い、70歳雇用が実現されることになります。昨年度まで総務・人事をにない、賃金制度や継続雇用制度の改定を担当した監査部の吉田純平次長は、「村上プランナーのアドバイスを受けて、70歳までの雇用を視野に入れつつ、当社の業務内容などもふまえて検討した結果、定年年齢の引き上げより、二段階のこの仕組みが当社に合っていると判断しました」とふり返ります。賃金制度を改定しており、驚きました」同社の賃金制度は、かつては55歳過ぎから緩やかに賃金が下がっていく設計でしたが、2020年7月より、年齢にかかわりなく、適正な評価を重視した制度に改定しました。以前の制度に対しては「年齢が理由で賃金が下がるのは理不尽」との声が社員からあり、そのままでは職場全体の士気の低下や、社員の将来への不安につながる重要な問題ととらえ、大きな改革に臨んだといいます。二段階の継続雇用制度を整備村上プランナーが昨年の訪問時にもう一つ感心したのが、「継続雇用者のやる気を引き出す制度」ができていたことでした。同社の定年は60歳、希望者全員を65歳まで嘱託社員として継続雇用する制度があります。具体的には、定年を迎える1年前の社員から、まず継続雇用の希望と希望する職種や働き方を書面で提出してもらい、会社は希望と適性を考慮し、営業・営業事務・管理事務のなかから担当してもらう職種を検討します。そして、定年の2カ月ほど前に本人と会社とで面談し、会社から職種と仕事内容と働き方、賃金を提示。双方で合意のうえ、継続雇用後の働き方が決まります。定年後は65歳まで、毎年この面談を重ねます。監査部の吉田純平次長

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