エルダー2021年10月号
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2021.1040はじめに1働く高齢者に多い労働災害として、今回は切創災害を取り上げます。切創災害は、機械、電動工具、カッターナイフ、包丁などの手工具を使用するときや、金属製品を手で取り扱っているとき、誤って手指などを切るものです。さまざまな業種で発生しています。本稿では、切創災害の実態、特徴などを紹介し、どうすれば切創災害を防ぐことができるかを解説します。60代以上と30代の切創災害データの比較2高齢者の特徴をみるため、60代以上と30代の労働災害を比較します。まず、休業4日以上死傷災害年千人率(労働者1000人あたり同死傷者数)を比べ、次に、切創災害の発生状況を比べてみましょう。①年千人率 2015(平成27)〜2019(令和元)年の60代以上と30代の休業4日以上死傷災害年千人率を比べると、60代以上は30代より2倍ほど高くなっています(図表1)。かなり大きな差です。この60代以上と30代の差は、心身機能の低下が主たる原因と考えられますが、そのほかにも、60代は定年退職後、別の会社に再就職するケースがあるように、働く場所が異なることも労働災害の原因にあげられることに留意が必要です。②切創災害厚生労働省ホームページ「職場のあんぜんサイト」に掲載されている休業4日以上死傷災害データ(2015・2016年分、全数のおよそ4分の1抽出データとされる)を用いて、全産業を対象に、60代以上と30代の切創災害(災※ 前回までの内容は、当機構ホームページでご覧になれます。エルダー 高齢社員のための安全職場づくり検索 生涯現役時代を迎え、60歳、65歳を超えて、より長く活躍してもらうためには、企業が職場における安心・安全を確保し、高齢社員が働きやすい職場環境を整えることが欠かせません。本連載では、高齢者の特性を考慮した〝エイジフレンドリー〞な職場の実現方法について、職場の安全管理に詳しい高木元也先生が解説します。労働安全衛生総合研究所 高木 元也―エイジフレンドリーな職場をつくる―高齢社員のための安全職場づくり切せっ創そう災害の防止第10回

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