エルダー2021年10月号
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エルダー41害分類における事故の型では、切れ・こすれ災害に区分)を比べてみます。図表2の通り、2016年の休業4日以上死傷者数をみると、切創災害のなかでも、動力機械によるものが60代以上は30代と比べ、1・18倍と高く、特に、木材加工用機械が1・34倍、金属加工用機械が1・38倍と高くなっています。木材加工用機械には、丸ノコ盤(携行型の電動丸ノコを含む)、カンナ盤、帯ノコ盤、チェーンソーなどがありますが、このうち、電動丸ノコ、チェーンソーの災害が多発しています。一方、金属加工用機械には、旋盤、ボール盤、研削盤(グラインダーを含む)などがあげられますが、特に、グラインダーの労働災害が数多く見受けられます。電動丸ノコ、チェーンソー、グラインダーの災害が多いのは、電動工具の反発により被災しやすいことがあげられます。そのほか、一般動力機械(食品加工用機械等)、手工具、金属材料については、死傷者数は30代の方が多くなっています。切創災害事例には図表3(42頁)のようなものがあります。切創災害と心身機能の関係3切創災害と心身機能の関係をみると、握力の低下により電動工具、手工具、切断する材料などを握る力が弱くなり、これにより切創しやすくなります。特に、電動工具が反発した場合、反発を抑えられず、また、とっさにうまく動けず、反発した電動工具が襲ってきても身を守ることがむずかしくなります。そのほかにも、視力の低下により、工具の刃先や切断する材料などがよく見えないこと、切断作業、研磨作業などは、身体をかがめる姿勢を長時間とり続けることもあり、柔軟性が低下している高齢者には無理な姿勢であり、被災につながりやすいといえます。切創災害防止対策4それぞれの切創災害について防止対策をみていきます。①電動丸ノコ電動丸ノコ作業の切創災害防止対策の基本はノコ刃に手を近づけないことです。切断する材料が小さく、手が近づいてしまう場合は、電動丸ノコを使用してはいけません。電動丸ノコ作業の労働災害の原因は、❶丸ノコが突然予期せぬ方向に動く・暴れる、❷材料が跳ね上がる、❸回転刃に誤って手を触れる、おおむねこの三つがあげられます。出典: 厚生労働省ホームページ「職場のあんぜんサイト」労働災害(死傷)データベース図表2 30代と60代以上の休業4日以上死傷者数(切創災害、2016年)3.53.02.52.01.51.02015年2016年2017年2018年2019年0.50.030代60代以上出典: 中央労働災害防止協会『安全の指標』(平成28年度版~令和2年度版)図表1 休業4日以上死傷災害年千人率の30代・60代以上の比較事故の型起因物30代60代年代比較ABB/A切創災害(切れ・こすれ)動力機械 177209118%木材加工用機械7195134%金属加工用機械3244138%一般動力機械736995%その他11100%手工具1128475%金属材料251248%その他6574114%合計379379100%高齢社員のための安全職場づくり―エイジフレンドリーな職場をつくる―

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