エルダー2021年10月号
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エルダー3安を感じている企業が結構ありました。ガイドラインはその違いについて詳しく説明されており、企業側だけではなく、フリーランスにとっても有効な防具になります。 また、一番の課題は社会保障です。休暇制度がないので病気やけがで仕事を休業すると収入がストップします。会社員には健康保険から傷病手当金が出ますが、フリーランスの多くが入っている国民健康保険には傷病手当金がありません。失業給付がある雇用保険にもフリーランスは加入できませんが、育児休業給付金や介護休業給付金なども雇用保険が財源になっており、フリーランスは受給できません。公的年金もフリーランスは一階部分の国民年金だけです。しかし、介護や出産・育児、健康リスクなどは働き方を問わずだれもが抱えているライフリスクです。仕事が得られるか、儲かるかといったビジネスリスクはある意味で自己責任の部分もありますが、ライフリスクは自己責任ではすみませんし、こうした格差は解消していくべきだと思います。―60歳あるいは65歳まで雇用されていた人がフリーランスとして働くことを考える場合、どんな点に留意すべきでしょうか。平田 始める前の準備として一つ目は情報収集です。税金や社会保障は会社員と異なり、確定申告にともなう税務・法務の知識も必要です。二つ目は働き方の違いです。会社員は会社に求められている役割・業務をしっかりこなすことが大事ですが、フリーランスは経験・知識を武器に自ら積極的に仕事を取りにいかないといけません。しかし、50〜60代まで一つの会社で過ごし転職経験のない人は、履歴書を書いたことがありませんし、「私はこういうことができます」というプレゼンテーションさえやったことがない人が多くいます。何より大事なことは、これまでのキャリアを棚卸しして、自分の価値を言語化することです。また取引先によって組織のカルチャーは異なるので、会社ごとに違う不文律ブルも発生していました。ガイドラインでは、契約条件を事前に書面で交付しないのは独占禁止法上も不適切であることが明記されるなど、ある程度クリアになりました。また、個人事業主なのか労働者なのかという「労働者性」が認められる要件について、細かい事例を含めて示されました。実は改正高年齢者雇用安定法の施行に際して、これまでと同じ業務を依頼するときに、「何が違えば業務委託になるのかわからない」、「『偽装フリーランス』として訴えられるのではないか」と不フリーランスの格差解消に向けたセーフティネットの実現を

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