エルダー2021年10月号
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エルダー49活動事例NPO法法人生涯現役で働きたい人のための大切な役目になるので、地味で泥臭い活動を続けています」と支援活動の様子を語る。また、「1件ごとに、多様な経験を持つメンバーで担当チームを構成し、チームワークによる複眼の視点を活かした支援活動を行います」と同クラブによる中小企業支援の特徴をあげる。次世代育成支援は、学校や教育機関、企業、自治体、地域へ会員を講師として派遣し、講演や研修会などを通じて次世代をになう若者の育成支援を行うものだ。例えば、文部科学省が支援する「土曜学習応援団」活動、科学技術振興機構主催の「サイエンスアゴラ」での活動、小・中学生を対象にした職業の話、高校でのキャリア教育の相談・支援などを行っている。社会人には経営や職場の安全などをテーマにした講演、モチベーション研修といった事業を展開している。多様な人材が揃い、企業や学校が必要なときに、必要に応じて支援ができるNPOとして、同クラブでは自らを「実業界の人財図書館」と名づけて、こうした支援活動にも力を入れている。復興支援は、東日本大震災の年から主に福島県を中心に中小企業支援などを続けている。やりがい、刺激、学び、社会貢献が魅力同クラブの理事で事務局長の酒さか井い基もと次つぐさんは、JA全農(全国農業協同組合連合会)のグループ会社を定年退職後、職場の先輩に誘われて会員になり6年目。食に関する知見や中小企業診断士、販売士1級などの資格を活かして、主に加工食品や農産物を扱う中小企業の販路開拓支援などを担当している。「支援の結果に対して依頼先から喜ばれることや、いろいろな仕事の現場を訪問できることにやりがいを感じています。会員には、現役時代の取引先や競合他社にいた人もいるのですが、いまは仲間で一緒に支援活動に取り組んでいます。勉強会もあり、そうした仲間から新たな刺激を受けることもあり、それがまた楽しいんです」と酒井さんは活動の魅力を笑顔で話す。タイムリーな支援活動を行うため、会員間で各種研究会を立ち上げ、最新の技術や情報、市場動向などを学んでおり、現在、ヘルスケア研究会(4月からグループに発展)、新素材研究会、エネルギー産業研究会、農産物・食品輸出研究会、デジタル・イノベーション支援チームなどが研究活動中だ。コロナ禍のいまはオンライン活動がほとんどだが、再び集まれるようになったら、酒井さんは若い会員を勉強会後の食事などに誘い、活動の魅力をさらに伝えていきたいという。助川理事長は、設立20周年を迎える来年に向けて「現在、関西グループは大活躍中です。支援活動の全国展開を目ざし、会員を増やしていきたいです」と目標を語る。入会は常時歓迎しており年齢制限はなく、支援活動は有償で、規程により活動ごとに報酬が支払われる。ただし、「小遣い程度」であることをあらかじめ伝えている。会員がこれほど増えた理由について、「活動していると、つい夢中になってしまうんです。ほかにも仕事を持っている会員も多くいますが、定年まで勤めて、これからは社会に貢献したい、そういう気持ちの人が多いからでしょうか」と助川理事長はにこやかに話してくれた。助川英治理事長(右)と酒井基次事務局長(左)

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