エルダー2021年10月号
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株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之人事用語辞典■■■■■■■■いまさら聞けない 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者なら押さえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。2021.1050今回は時間外労働について取り上げます。時間外労働とは、労働条件について最低限守るべき基準を設けた労働基準法(労基法)で定められた労働時間を超えて働くことをさします。働く人々にとって一度は経験したことのある、また長時間労働等で話題になりやすい身近な用語ですが、細かいルールがありわかりにくいものでもあります。関連する用語もたくさんあります。時間外労働の種類は複数あるここからは文章だけだとわかりにくいので、図表を確認しながら進めていきます。文章中の①〜⑤は図表に対応しています。労働者が働く時間を労働時間といい、大きくは所定労働時間(①)と法定労働時間(②)の二つに分かれます。所定労働時間は、労働者と会社間で取り決められた労働時間で会社ごと(または職場ごと)に異なります。これに対して、法定労働時間は労働基準法で定められた労働時間で、原則週40時間、1日8時間が上限とされています(労働者10人未満の商業、接客娯楽業等は例外として週44時間、1日8時間)。会社が定める所定労働時間は、法定労働時間を超えてはならず、8時間以内で設定する必要があります。定められた労働時間を超えた部分が時間外労働に該当しますが、労働時間別に異なる用語がつけられています。給与の計算も変わりますので、正しく押さえておく必要があります。法定労働時間から所定労働時間を引いた労働時間を法定時間内残業(③)、法定労働時間を超えた労働時間を法定時間外残業(④)といいます。また、22時から翌5時の間に働くことを深夜勤務といいますが、この場合は法定時間外残業か「時間外労働」第17回出典:東京労働局「しっかりマスター労働基準法―割増賃金編」より筆者作成図表  時間外労働の割増率[所定労働時間が午前9時から午後5時(休憩1時間)までの場合]25%以上9:00①所定労働時間17:00~18:00▶1時間あたりの賃金 ×1.00×1時間法定時間内残業18:00~22:00▶1時間あたりの賃金 ×1.25×4時間法定時間外残業22:00~5:00▶1時間あたりの賃金 ×1.50(1.25+0.25)×7時間法定時間外残業+深夜勤務17:0018:0022:005:00③法定時間内残業④法定時間外残業⑤法定時間外+深夜勤務②法定労働時間50%以上実働7時間7時間1時間4時間割増率

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