エルダー2021年10月号
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2021.1062社員にさまざまな食材を提供し栄養に関する興味と知識を高める同社の事業においては、ドライバーを務める社員の健康は何よりも大切である。健康な身体で長く働き続けられることは社員にとっての財産と考え、健康の土台となる食事を大切にする習慣を社員に根づかせようと取り組んできた。その一環が、生産農家と直接契約して行う社員への食材配付と、管理栄養士による食育情報の提供だ。リンゴ、ミカン、トウモロコシ、ブルーベリーなど、季節の野菜や果物を年4回ほど、社員全員に配付している。配付時には、「ブルーベリーは目によい」、「豚肉やとうもろこしには疲労回復効果がある」といった、食材の情報と調理法を添えて提供している。こうすることですべての社員に栄養の情報を提供でき、家族にも喜ばれている。生産農家から直送される野菜は新鮮で質もよいが、「食」への興味をさらにうながすため、ウナギやA5ランクの和牛などの高級食材を提供することも。高級食材の場合は抽選での配付となることもあるが、野菜や果物と同様、配付時には食材説明書を添えている。食材の提供を始めたきっかけについて鍋嶋社長は、「若い社員に、もっと身体によいものを食べてほしいと考えたことが始まりです。手当てとして支給すると、食事以外の用途に使われてしまう可能性もあるので、食材を直接渡すことにしました。旬の野菜や果物を味わうことで四季の移り変わりを感じ、とりわけ旬の時期ならではの高い栄養素を身体に取り込むことで、社員の健康な身体づくりとその意識向上に役立てたいです」と話す。また、免疫力向上が期待できる乳酸菌飲料の配付を週2回行っているほか、最近では朝食を食べる習慣がない若手社員を対象に、バナナとゆで卵の提供も始めた。運送事業者としては珍しい管理栄養士の採用は2018年から開始した。初代の管理栄養士は週3回の勤務だったが、三代目の太さんは常勤。2021(令和3)年には新たに新卒の管理栄養士も加わり、2人体制がスタートしている。管理栄養士の役割は、健康診断結果を受けての食事指導や、健康意識向上のための社員との面談。SNSや社内報などを活用して健康情報の発信なども行っている。太さんは「配信した情報を見た社員から、『糖質と糖類の違いって何?』という質問があったりと、栄養に関する意識の高まりを感じます。希望者には栄養相談を行っており、食生活が乱れがちな一人暮らしの社員に一週間分の食事を教えてもらい、食事指導をするなどしています。今後は社員一人ひとりに的確なアドバイスができるような仕組みをつくっていきたいです」と抱負を語る。太さんは社内だけでなく、大橋運輸が開催する地域セミナーの講師、健康相談も担当しており、地域の人々の健康維持、増進にも取り組んでいる。食材説明書が添えられ配付されたうなぎ食材説明書が添えられ配付されたうなぎSNSを活用し健康情報を毎週配信SNSを活用し健康情報を毎週配信

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