エルダー2021年10月号
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エルダー63健康づくりを促進するさまざまな施策を導入食育のほかにも、同社ではさまざまな取組みを行っている。健康的な食事には健康な歯が重要という視点から、定期的に無料の歯科検診を行う「8020運動」もその一つ。提携する歯科医院で検診するだけではなく、その後の治療までサポートしてもらえることもあり好評だ。11月8日の「いい歯の日」には、歯周病対策キットを社員全員に配付している。運動を習慣化するための取組みとしては、社内にジムを設置し、休憩時間や就業後に自由に利用できるようにしているほか、運動機会を増やすため、近隣にあるスポーツクラブと契約し社員は無料で利用することが可能だ。社内ジムの隣には「酸素ルーム(高気圧O2カプセル)」を設置。酸素ルームはトップアスリートが利用することでも知られており、疲労回復や睡眠不足の解消に効果があるとされ、休憩時間や就業後に利用することによって心身ともにリフレッシュし、集中力アップや生産性の向上につなげている。また、月に1回、外部の講師を招いてバランスボール講習会を行っている。ボールの上でバランスを取りながら身体を動かす運動は、姿勢矯正、腰痛予防、筋力アップ、ダイエット効果が期待できる。こちらは勤務時間内に行っており、普段は運動する時間が取れない子育て中の女性社員などから好評を博しているそうだ。勤務時間内に行う運動としては、太極拳の講座も開催しており、こちらも女性社員からの人気が高いという。2021年度からは、「趣味で心から健康になろう」と掲げ、「趣味応援企画」がスタート。社員が自由に「挑戦してみたいこと」を宣言し会社が認定することで、活動費として3万円を支給する。現在、「娘と自転車でサイクリング」、「ドローンで家族の絆を深める」など3人の趣味が認定を受けているそうだ。10年かけて予算を徐々に増額こうした健康対策について、同社では年間一人あたり10万円を計上。決して安くはない金額だ。「ドライバーの健康は安全運転に直結するので、運輸業における経営という視点で見れば重要な課題です。人材確保、人材育成の面でも健康対策は重要と考え、少しずつ予算を割くようにしてきたところ、10年間で予算が10倍に増えました。社員の働きがいや離職率の低下、採用力向上などにつながっていると思います。社員本人だけでなくその家族からも歓迎され、経営によい影響を与えることが実感できたからこそ、少しずつ予算を増やしてきました」(鍋嶋社長)。同社では、今後も社員一人ひとりに健康情報を届け、現役世代はもちろん、定年後も健康に過ごせるよう、「治療より予防」に重点を置き、長い目で社員の健康づくりに取り組んでいくという。ユニークな施策を続ける同社の取組みにこれからも注目だ。目ざせ生涯現役! 健康づくり企業に目注バランスボール講習会の様子バランスボール講習会の様子

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