エルダー2021年10月号
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特集令和3年度 高年齢者活躍企業コンテスト令和3年度高年齢者活躍企業コンテストの審査が終了しました。審査委員を代表し、応募いただいたすべての企業・団体関係者のみなさまに厚く御礼申し上げます。今回は全国から101編の応募を受け、厳正な審査の結果、厚生労働大臣表彰は、最優秀賞1編、優秀賞2編、特別賞3編、また、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰は13編が入賞を果たしました。最優秀賞の株式会社ササキは、産業機器分野を中心とした「モノづくり」を行っています。そのカギを握るのが熟練技能者の技能。特に高齢者を若手への技能継承の役割をになう重要な存在と位置づけ、その技能を評価する仕組みを構築しています。一方、マネジメント経験を持つ高齢人材を外部から積極採用し、大手・異職種の経営ノウハウを蓄積することで競争力の向上につなげており、内外の高齢人材を有効活用していることなどが高く評価されました。優秀賞の株式会社アールビーサポートは、よりよい介護サービスを提供するため、年齢で仕事や賃金を差別しない制度づくりに取り組むとともに、手厚い福利厚生制度を導入。安心して長く働ける職場環境を実現することで、職員のモチベーションとともに生産性向上につなげていることなどが評価のポイントとなりました。同じく優秀賞のイオン九州株式会社は、合併企業の人事制度も参考にしながら年齢や雇用区分に関係なく、70歳までの雇用制度を導入。自らのライフスタイルに合わせた働き方の実現のため、各種人事制度を整備するとともに、外部セミナーなどによる自己啓発を支援していることなどが評価されました。特別賞の株式会社壮健は、人事・賃金制度の策定による職員のモチベーション向上をはじめ、作業マニュアルの策定による業務の効率化などに、経営者と現場スタッフが一体となり、ベストなサービスの提供を目ざしています。同じく特別賞の前原製粉株式会社は、希望者全員年齢の上限なく働き続けることができるほか、80歳の高齢者を採用するなど、地域の高齢人材を戦力として活用しています。細やかな各種人事制度も受賞の決め手となりました。同じく特別賞の株式会社美装管理では、社員の半数以上を占める60歳以上の社員が主力として活躍。マニュアル化できない高齢社員が持つ経験やノウハウを、ペア就労により、若手へ継承しています。高年齢者雇用安定法の改正により、70歳までの就業機会確保が企業の努力義務となり、高齢者の活躍の場をいかに広げていくかが問われています。最優秀賞を受賞した株式会社ササキのように、異業種からの高齢人材の登用もこれからの有効な取組みの一つといえるでしょう。また、今年の審査ではモノづくり産業の取組みが目立ちました。日本の競争力を維持・向上していくためにも、モノづくりは大事にしていきたい分野です。日本のモノづくりを支えてきた高齢人材の活用はもちろんのこと、高齢者自身にも、生涯現役のマインドで、自分自身の活躍の場を広げていってほしいものです。法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科 教授 藤村 博之経験豊かな高齢者の積極的活用で働きやすい環境を整備しだれもが生涯現役を目ざせる職場創出の取組みを評価生涯現役を目ざせる職場環境を整備しだれもが活き活きと働ける職場の創出を評価法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科 教授 藤村 博之審査委員長からのメッセージエルダー7

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