エルダー2021年11月号
13/68

特集令和3年度 高年齢者活躍企業コンテスト物を調理するため床が油で滑りやすく転倒を起こしていたので、滑りにくいラバーソールのシューズを配付し、転倒防止策をとった。手の切創事故については、食品調理用の切創防止手袋の着用を義務づけ、備品として欠品しないようにして切創事故防止に努めた。そのほか、全部門的に腰痛を訴える高齢従業員は多く、腰痛防止の体操を取り入れるために、衛生委員会が中心となって動画を配信する取組みを始めた。所要時間6~7分の動画は、店舗に設置しているパソコンでだれでも視聴できる。さらに、腰痛ベルトを試験的に導入しており、今後効果が見られれば全店舗に拡大する予定だ。こうした取組みの結果、2021年3〜8月の労働災害件数は前年比の半分にまで減少した。(4)高齢従業員の声椎しい野の正まさ明あきさん(68歳)は、勤続年数48年を数える店舗管理のベテラン。商品補充、生鮮食品、惣菜、ベーカリーの最終値引き、閉店時の戸締りなどを行っている。「長い実務経験を活かせる仕事なので、無理をしなくてよいところがいいですね。品切れのない整理された売り場づくり、季節などのタイミングに合わせた商品展開を心がけ、全力で各担当者をサポートしていきたい」と意気込みを語る。茶ちゃ畑ばた東あずまさん(72歳)は、18歳で入社し、54年間、同社で働いている。食肉部門に所属し、生肉の商品化、売り場づくりを担当。商品化の手順、商品陳列の技術を若手従業員へ指導している。定年後に働く心構えについて、「過去の肩書き、実績、プライドを捨てなくては後輩や若い人たちとは働けません。自分が何を持っているかより、自分が持っているものを後輩たちにどう伝えるかが大事です」と力を込める。國こく分ぶん禮れい子こさん(71歳)は、18歳で入社し、長年同社に貢献している。惣菜部門で主に弁当、丼物づくり、商品の陳列を担当。スピーディで見た目がよい商品のつくり方や、臨機応変に手法を変えるといった、長い経験から得た手順、技術を若手従業員に伝授している。「ミスなく、時間内に目標の個数を作成し、売れ行きが好調だと達成感があります。歳を重ねるとスピードが落ちていくでしょうから、そこを意識してがんばっていきたい」と気を引き締めている。(5)今後の課題高齢従業員はみな、若々しく活き活きと働いているが、将来的に加齢による体力の衰えは避けられない。65歳以降については一年ごとの契約更新の際、体力検査の導入を検討している。今後の70歳定年を見据えて、高齢従業員が長く活躍できるように、一層、働きやすい環境を整備していく。エルダー11椎野正明さん茶畑東さん國分禮子さん

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る