エルダー2021年11月号
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特集令和3年度 高年齢者活躍企業コンテスト組んでOJTを行う。高齢従業員の張合いにもなり、若手の成長にもつながっている。企業の沿革・事業内容Ⅱ山口県西部のほぼ中央に位置する美祢市は、緑豊かな中山間地域にあり、日本最大級のカルスト台地「秋あき吉よし台だい」、日本屈指の大鍾しょう乳にゅう洞どう「秋あき芳よし洞どう」をはじめ、悠久のときの流れを感じる大自然が大きな魅力となっている。同地で1954年に創業した髙山産業株式会社は、土木建築業を主軸に事業を開始し、時代とともに運送事業や車両整備業などに事業を拡大してきた。同社が目ざすのは、髙山正まさ樹き代表取締役社長曰く、「建設業のコンビニエンスストア」。「当社は、総合建設業として社会インフラ整備のあらゆることにかかわって68年になります。人口が減少しても、災害があれば必ずだれかが要救助者を助けなければいけないですし、建物を建てることも車の修理も必要です。2万4000人ほどの町で、身の回りに困りごとがあれば何でも対応できる存在になりたいと考えています」と話す。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方Ⅲ104人の従業員のうち、60歳以上は36人。60~64歳の正規従業員が21人(男性19人、女性2人)、定年を超えた65歳以上の非正規従業員が15人(全員男性)である。若者に敬遠されがちな業界であるため中高年齢者が多く、平均年齢は53歳。最高年齢者は現在74歳である。従業員の職種で多いのは現場監督。同社は建設業のなかでも元請けの立場であり、建設現場を取りまとめる役割をになう。ただし、作業員もいれば運送専門の運転手もいて、さまざまな職種がある。基本的に入社後に職種を変更することはなく、多くの人が高齢になっても同じ仕事を続ける。そのなかで体力面への配慮をすることはあるが、高齢従業員向けの仕事は設けていない。高齢者雇用に積極的に取り組む背景について、髙山社長は、「昔の60歳といまの60歳とではバイタリティが違います。生活スタイルも変わり、みなさん、活き活きと生活されている。建設業界が人材不足、技術者不足という大きな課題に直面しているなか、元気な方には長く活躍してもらえるよう取り組んでいます」と説明する。総務部の石田仁ひと志し主任も、「建設業の仕事はマニュアル化しにくく、経験が物をいう仕事ですので、長く勤めていただき、経験を積むなかでつちかった能力・技術を次の世代に伝えていってほしいと考えています」と話す。改善の内容Ⅳ(1)制度に関する改善▼定年制の改正実際には以前から65歳を超える従業員もいたが、就業規則を見直し、2019年10月より、定年年齢を63歳から65歳に引き上げると同時に、継続雇用年齢を65歳から70歳に引き上げた。さらに70歳以降も、運用により1年ごとに更新し、年齢の上限なく再雇用している。これらの変更は、従業員の幸せと会社としての人材確保、技術・知識の伝承を目的として、経営トップの発案で、従業員との話合いにより決定した。もちろん従業員も、「仕事があると生活が安定するし、張合いが持ててうれしい」という反応だった。▼再雇用後の賃金制度定年を迎えて再雇用になっても、賃金の決めエルダー21会社外観

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