エルダー2021年11月号
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たパート社員が65歳を迎えることになり、定年制の見直しを行った。当時は、定年60歳、継続雇用の上限年齢を65歳としていたが、業務にはベテランの能力・知識が必要不可欠であることから、定年年齢の引上げに着手。定年を70歳まで延長し、定年後は本人の希望があれば年齢の上限なく継続雇用するとした。▼キャリアパスプランの作成同一労働同一賃金の考え方を取り入れ、パート社員・アルバイトの戦力化に注力した。年齢や勤続年数よりも具体的に何ができるかを考慮した賃金テーブルを作成し、高齢でも戦力になる仕事をすれば賃金が上がるキャリアパスプランを作成した。年齢に関係なく新人教育やシフト管理などの業務を行うことで賃金が決まるので、高齢社員のモチベーションが大きく向上した。▼個別研修プログラムの策定高齢者、女性、障害者など多様な人材を積極的に活用するなかで、働きづらさを感じさせない職場づくりのために、それぞれが業務に対応できるようにするための個別研修プログラムを策定した。これにより、業務の幅が広がり、働きやすさにつながることで定着率も向上した。▼年次有給休暇の取得計画推進年次有給休暇の取得率向上のため、各現場リーダーに有給休暇取得計画を立てさせることとし、パート社員・アルバイトと話し合いながら調整を行っている。現場のパートリーダーに年次有給休暇の承認権限を委譲したことで、現場に合った無理のない有給休暇取得計画を立てることが可能になり、有休取得率の向上につながった(高齢社員を含むパート・アルバイトの有休取得率は、2010年の0%から2020年には27・6%へアップした)。▼経営指針発表会に全社員が出席同社では経営理念や経営方針、経営計画を盛り込んだ経営指針書を毎年作成、社員全員が経営指針発表会に出席。他部署の社員同士が顔を合わせて情報交換などを行うことで、社内全体の風通しもよくなっている。また、発表会後の懇親会はコミュニケーションを図る格好の場となっている。▼職務能力を体系化社員のキャリア形成をうながすために、各職務に必要な職務能力要件を作成し、社員の職務能力を体系化した。創業間もないころは個人のスキルに頼る面が多く、現場の一部のパート社員に打合せやシフト管理を任せていたが、そのことについての評価基準がなく賃金にも反映されないという問題があった。そこで職務能力要件を体系化し、業務内容と評価基準を明確にして能力評価を行うこととした。現場でキャリアを積んだ高齢パート社員が人材育成に積極的にあたるような相乗効果も生まれた。職務能力要件が明確になったことで、現在の自分の立ち位置と、「何ができるようになれば評価されるのか」が明確になった。同時に足りない部分も鮮明になったことから、それを補うための教育訓練計画を体系的に身につけてもらうことが可能になった。昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止したが、高齢社員は年に数回のキャプテンミーティングを行い、違う現場同士のコミュニケーションを通じて事例を学び合い、育成や緊急対応といった共通の悩みについて互いの職場で活かせる情報交換を行っている。(2)雇用継続のための作業環境の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み▼作業環境の改善①ジョブローテーション制の導入作業現場で急な欠員が出ると安定したサービス供給ができないことから、代理で入れる要員を一つの業務に最低でも2人を確保するジョブローテーション制を導入した。②作業負荷の軽減高齢社員や女性でも負担がかからないよう作業性と安全性を重視してオペレーションを見直し、できるかぎり立位の姿勢のまま作業できる道具を積極的に導入している。また、当初は男性と女性の職域を分けていたが、女性にも大型機材の操作研修を実施するなどして、男女間の職域の差をなくした。▼安全衛生2021.1126

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