エルダー2021年11月号
29/68

特集令和3年度 高年齢者活躍企業コンテスト毎月定例の安全衛生会議や研修、毎週月曜日の幹部会議では、営業項目だけではなく、社員個別の体調や健康状態を把握している。仕事時の負傷などの対策として、通常の健康保険に加え、社員が少額を負担するハイパー任意保険にも加入している。仕事時以外でも病気入院や治療費の補助など手厚い制度は社員から歓迎されている。▼心身の健康管理就業形態にかかわらず、パート社員も含めて毎年1回以上の健康診断を実施している。また、産業医によるストレスチェックを毎年1回行い、高度のストレスが見られる社員には個人面談を実施している。さらに、毎月1~3人の社員について産業医による面談を随時行うといった、高ストレス者が増えることを未然に防ぐための取組みを進めている。▼福利厚生毎年のレクリエーションとして、ワクワク旅行や歩こう会、玉入れ、なわとび、ミニバレー、バドミントンなどを開催している。これらを通じて社員の交流が深まるとともに、一人ひとりの心身のリフレッシュにも役立っている。(3)高齢社員の声久く米め田た博ひろしさん(67歳)は、12年前から短時間アルバイトとして勤務していたが、昨年7月からは契約社員としてフルタイムで働いている。午前中は食品工場、夜はスーパーでフロアの清掃を行っている。〝実直〟という言葉が似合う久米田さんは「求人案内を見て応募し、12年前から働かせてもらっていますが、昨年、契約社員になったら社会保険が整備されていてとても嬉しかったです。70歳を超えて働いている方が14人もいることを励みにして、体力と気力が続くかぎり働かせてもらいたいです。長く勤めるコツはくよくよしないことでしょうか」と話す。原田美紀さん(62歳)はパート社員として8年目を迎えた。ディスカウントスーパーの日常清掃を4人体制で受け持っている。「ここで働かせてもらって8年になりますが、毎日楽しくてやりがいがあります。パート社員なのでシフトで働いていますが、自分の時間を持つこともできますし、何よりも仲間とワイワイやりながら日々過ごせることに感謝しています。お客さまから『ここのトイレはいつもきれいで気持ちがよいです。ありがとう』と声をかけていただくこともあり、それが明日もまたがんばろうと思える原動力になっています」と話す。明るくて笑顔の絶えない原田さんは、現場のリーダーを務めており、チームのメンバーと活き活き働く様子が目に浮かぶ。(4)今後の課題業界では一部ロボット化が進んでいる作業もあるが、高齢社員の負担軽減のためにも、テクノロジーや最新機材などを積極的に取り入れていくことを視野に置いている。高齢化や障害など、人生においてだれにでも起こり得ることに協力できる会社でありたいという思いは、創業以来変わることはない。同社には「どんな人でも輝けるお掃除学校構想、ウルトラクリーンアカデミー」の設立という大きな夢がある。就労訓練施設というよりは、地域の人が気軽に立ち寄れるコミュニティ空間を目ざしているそうだ。この壮大なビジョンの実現に向かって、全社一丸となった挑戦が続く。エルダー27久米田博さん(左)と原田美紀さん(右)

元のページ  ../index.html#29

このブックを見る