エルダー2021年11月号
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(2)意欲・能力の維持・向上のための取組み▼若手従業員への技能継承自社の鉄骨製作工場では、ベテラン従業員と若手従業員の「ペア就労」により、若手従業員のレベルアップと技術・技能継承を企図したOJT実習を実施した。師弟関係のようにペアを組み、同じ業務にたずさわることで教える側・教わる側の意識を高めた。ペア就労は、教える側にも、「若手従業員とコミュニケーションが取れ、親密になれる」、「指導する楽しさ、若手従業員が成長する喜びを感じ、モチベーションが向上する」、「技術を引き継ぐ認識が芽生え、新たなミッションに意欲的になる」、「自らも新しい技能や技術へ挑戦しようという気概が生まれる」など、さまざまなプラスの効果がある。事業所の雰囲気も明るくなり、ペア就労を実施していない従業員間でも技能や技術を伝える行動が見られるようになった。最近はこのペア就労を進化させて、中堅従業員を加えた3人組のグループ編成とし、育て合いと相互コミュニケーションの効果を高めている。「中堅従業員が入ることで、より円滑なコミュニケーションが図れるようになりました。ペア就労以外にも、各部門が定期的に先輩従業員による経験談の講話や技能の勉強会を行っています」と知花課長代理は話す。▼配置転換希望者の相談窓口の設置配置転換を希望する高齢従業員のために、総務経理部に相談窓口を設置した。体力仕事が多いので、なかには負担の少ない作業内容への転換を希望する従業員がいるためだ。そのような場合、機械化されているラインへの配置転換や、高所作業から危険度の低い業務への変更などを検討する。年齢を重ねて体力面やメンタル面など不安が生じた際も「いつでも相談に来てください」という会社の姿勢を示すことで、安心感を与える効果は大きい。▼生産性向上支援訓練ベテラン従業員を対象に当機構の「生産性向上支援訓練」を実施している。現場の問題解決や管理者の役割、若い世代との円滑なコミュニケーションについて学び、生産性の向上を図ることを目的としたものだ。効率的な働き方を学ぶだけではなく、コミュニケーションを円滑に図ることで、若年従業員を指導する楽しさ、若年従業員が成長することへの喜びを感じることができ、総じてモチベーションの向上にもつながっている。(3)雇用継続のための作業環境の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み▼週単位での作業計画表作成、作業負担軽減週単位で作業計画表を作成して管理者が個々の業務を把握し、必要に応じて調整している。高齢従業員については、加齢にともなう体力の低下を考慮し、安全かつ身体的負担の少ない作業とすることもある。また、毎朝の朝礼時には、管理者が個々の表情や顔色、検温によって健康状態をチェックし、無理のない業務ができるようにしている。また毎週水曜日のノー残業デーの実施などにより、ワーク・ライフ・バランスの向上も図っている。特に高齢従業員は定時内での就業ができるように業務量を調整し、余暇も楽しみながら仕事が行えるように配慮している。2021.1130鉄骨製作を行っている自社工場

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