エルダー2021年11月号
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エルダー37<企業プロフィール>社会福祉法人いろどり福祉会 ケアハウス・在宅複合施設花紬(三重県津市)創業2000(平成12)年 高齢者福祉事業 社会福祉法人いろどり福祉会では、定年66歳、希望者全員70歳まで、70歳以降は条件つきで年齢上限のない継続雇用制度を導入しています。定年後を含む職員全体の処遇改善に努めているほか、質の高い介護と生産性の向上を実現するため、製造業における品質管理の考え方を取り入れ、高齢職員を含む「全社的な品質管理活動」を進めているのも特徴です。これらの取組みが評価され、令和元年度高年齢者雇用開発コンテスト※で、厚生労働大臣表彰優秀賞を受賞しました。内田教授に聞く 社会福祉法人いろどり福祉会 ケアハウス・在宅複合施設花紬のココがポイント!最新機器の導入で負担を軽減するとともに、高齢者だからできるていねいな仕事で職場に貢献 今年の「敬老の日」に総務省統計局が発表したわが国の65歳以上の高齢者の最新状況によれば、高齢者人口は3640万人と過去最多、総人口に占める割合は29.1%と過去最高、高齢者人口の割合は世界最高です。高齢者福祉の充実がますます求められています。そして、高齢者福祉のにない手として適役なのが高齢者です。福祉サービス利用者となる高齢者と働く高齢者は同じ時代に生きた共通意識があり、また、高齢者は長年の人生経験の深さから利用者の相談に親身になれるからです。同様の事例はファミリーレストランです。最近は高齢の顧客が多くなり、接客側にも高齢者を配置することで顧客からの評判が高まっています。現在の主要顧客が高齢者である場合、または、これから高齢者を対象にビジネスを展開する場合、経験豊かな高齢者の起用をおおいに考えるべきでしょう。 いろどり福祉会では、①定年延長と希望者全員70歳までの継続雇用により安心して働ける職場を実現し、②360度評価による処遇制度で定年後の昇給を可能にして高齢者の意欲を高め、③高齢者の研修講師への起用やQCサークル活動参加を通して若年者に高齢者の経験を伝えるなど、ユニークな取組みが見られます。 いろどり福祉会の取組みのなかで特に注目したいのは機械化です。機械化によって無理な姿勢での作業や力仕事から解放された高齢者は集中力が持続し、余裕を持って仕事ができるようになります。マンガのなかで消毒作業が紹介されています。いまでは新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため手の抜けない仕事ですが、細かいところまでの消毒は機械にはできません。注意が行き届き、ていねいな仕事をする高齢者だからこそできる仕事の一例です。内田 賢(うちだ・まさる)東京学芸大学教育学部教授。「高年齢者雇用開発コンテスト」(※現・高年齢者活躍企業コンテスト)審査委員(2012年度~)のほか、「65歳超雇用推進研究委員会」委員長(2016年度~)を務める。《プロフィール》マンガで見る高齢者雇用エルダの70歳就業企業訪問記解説

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