エルダー2021年11月号
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株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之人事用語辞典■■■■■■■■いまさら聞けない 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者なら押さえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。2021.1154今回は休日・休暇について取り上げます。休日と休暇は、休むという行為に違いはなく、用語としても違いを意識せずに日常的に使うことも多いかと思いますが、実は労働基準法上では明確に区別して使われている用語です。前回の連載で取り上げた「時間外労働」に引き続き、労働時間に関するテーマとなりますので、前回の解説も思い起こしながら読んでいただくと、理解が深まると思います。休日は労働の義務がない日休日とは、労働の義務がない日のことをさします。休日のなかでも労働基準法で定められた法定休日と、法の定めではないが労働者と会社間で取り決められた法定外休日に分かれます。法定休日は、週1日または4週間に4日以上、会社は労働者に必ず休みを与えなければならないと定められています※1。ここでいう1日とは午前0時から午後12時の24時間のことをさします。これに対して、法定外休日とは法定休日を超えて定められた休日のことで、会社が定める労働条件などを記載した就業規則や労働者と会社が労働条件について取り交わす労働契約に定めることで休日となります。例えば、本稿掲載号発行の11月には勤労感謝の日といった国民の祝日がありますが、法律上は休日に該当するため公立の教育機関や行政機関は基本的には休みとなります。このため一般的には祝日=休みと認識されていますが、会社において祝日は必ずしも休みではなく、法定外休日として定めていなければ休みにはならないというのが基本です。さて、この内容だけだと会社は週1日の法定休日のみ付与すればよいのに、土日+祝日が休みの会社が多いのはなぜかという疑問がわくかもしれません。これは前回解説した法定労働時間が1日8時間、1週40時間と定められていることが関係します。1日8時間労働した場合、5日で週40時間に達してしまいます。この時点で週2日休みが基本となります。1年間が365日とした場合、1年間に約52・14週あることになります。これに週2日の休みを乗じて端数を切り上げると最低で年間105日は休みが必要となります。この日数を個別に休日を指定すると管理が複雑になりますが、土日+祝日(年間16日)を休みとすれば、年間休日は基本的に120日となりますので、法律上の要件を超えることになります。このため、土日・祝日が稼ぎどきのサービス業などを除いてこのような運用をする会社が多くあるのが実際のところです。「休日・休暇」第18回前回までの内容は、当機構ホームページでご覧になれますエルダー 人事用語辞典検索※1 労働基準法第35条第2項参照

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