エルダー2021年11月号
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エルダー57田中淳じゅん子こ 著/経団連出版/1760円山やま岸ぎし昌しょう一いち 著/合同フォレスト/1650円北村庄吾 著/かんき出版/1760円働き方改革を中心とするさまざまな法改正への対応が求められるなか、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、急ピッチでテレワークを導入する企業などが増え、人事・労務担当者には新たな課題や対応すべき問題が次々と押し寄せている昨今といえるだろう。本書は、人事・労務の担当者をはじめ、経営者、部下を抱える管理職など現場で人事労務の悩みを抱える責任者や、人事・労務について学びたい人などに向けて、社会保険労務士である著者が、基本的な知識から最近の法改正、新たな課題への対応策までわかりやすく説いている。第1章の募集・採用から第6章の退職まで流れに沿って実務の基本を押さえつつ、テレワーク、裁量労働制、同一労働同一賃金などのテーマも盛り込んでいる。最後の第7章では多様化する雇用をテーマに、70歳までの就業機会の確保、派遣社員、外国人雇用などについて解説。第1章から第7章まで全80項目で構成され、必要な項目から読むこともできる。随所に間違えやすいポイントや実務上のアドバイス、事例研究なども簡潔に紹介されている。正しい知識を身につけ、新たな問題への対応力を養う一助として、頼りになる一冊である。健康長寿を手に入れるには、いくつになっても仕事や役割を持ち、生涯現役で社会参加することが秘訣とされる。そのためには、毎日の食習慣や生活習慣を整えることも大切だろう。本書は、老化のメカニズムや、現代の生活において健康長寿を手に入れるのに適した養生法を取り上げ、科学的根拠に基づき解説している。著者の昭和大学医学部教授の山岸氏は、AエーGジーEイー(終末糖化産物)が体内にたまって老化や病気の原因になることに着目し、30年以上前からその研究をライフワークとしている第一人者。著者は、AGEの正体を明らかにしながら、食べ物に含まれるAGEの摂取を抑えること、また、体内で生成されるAGEを抑え込むための知識と食習慣、生活習慣をわかりやすく紹介している。例えば、AGEをためこまないようにするには、高血糖状態を長く続かせないことが肝要。そのためには「ベジタブルファースト」が効果的で、野菜など食物繊維が多いものを先に食べ、糖質はできるだけ最後に摂るようにするとよい。そうすると血糖値の急上昇も抑えられ、脳梗塞などのリスク低減にもつながるという。本書には、このような明日からでも手軽に始められる養生法が満載されている。本誌2021(令和3)年6月号の特集「コロナ禍や自然災害に立ち向かう働く高齢者の底力」に寄稿していただいた著者の田中氏は、数多くの企業で新入社員研修やOJT支援にたずさわり、社員の育成の現場を長年見続けてきた。本書には、その経験を活かし、大半の企業で「仕事をするための学びを手助けする仕組み」として実施されているOJT(On the Job Training)が取り上げられている。「後輩指導を託された現場のOJTトレーナー」や「新入社員や若手社員を部下に抱えるマネージャー」、「人事部門や人材開発部門でOJT制度を運営している担当者」を念頭に、主としてOJTトレーナーがかかわる、多様で具体的な育成事例を収録しているところが特徴だといえるだろう。OJTトレーナーには、若手社員と比較的年齢が近い先輩社員を選任する企業が少なくないが、高齢者雇用が進展するなか、これからは経験豊富な高齢社員をOJTトレーナーとして選任するケースも増えてくると思われる。OJTにまつわる多様な事例が紹介されている本書は、人事労務担当者が「先輩による後輩指導」という枠に留まらないOJTの展開を考える際にも大いに役立つと思われる。意外とわかっていない人のための人事・労務の超基本老けない人は何が違うのか今日から始める! 元気に長生きするための生活習慣事例で学ぶOJT―先輩トレーナーが実践する効果的な育て方採用~退職の基本知識から新たな課題への対応策までわかりやすく解説健康的に年を取りたい人の、現代版・養よう生じょう法多様で具体的な育成事例を収録した、後輩指導の手引き

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