エルダー2021年11月号
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エルダー61全社員面談で得られた声を働き方改革に活かす広告製版や販促ツールのデザイン・印刷などを手がける株式会社浅野製版所(従業員42人※)は、1937(昭和12)年創業の老舗企業。社員の健康に配慮した取組みが評価され、経済産業省の「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」に2017(平成29)年から5年連続で認定され、2021(令和3)年には、そのなかでも上位法人に付加される冠として新設された「ブライト500」に選ばれた。そんな同社も、かつては過重労働で退職者が多かったという。健康への取組みを推進してきた経営企画部課長の新しん佐さ絵え吏りさんは、当時の状況について「広告業界や大手企業の下請けという特性に加えて、80年近い歴史のなかで根づいた慣習もあり、長時間労働があたり前の状況でした。ミスをすると命取りになるため、精神的な負担も大きく、現場は疲弊し、辞めていく社員が後を絶ちませんでした」とふり返る。こうした状況を改善しようと、同社は20 15年に働き方改革に取り組み始めた。当初は大手企業にならい、残業時間の削減や有給休暇の取得促進などに取り組んだものの、施策先行で取り組んだため、かぎられた人員に負担が生じ、さらに退職者が増える事態に。残された社員がこれにより疲弊するなど、目的と裏腹の結果を招くこととなった。新たな採用がむずかしいなか、「労働力人口が減少し、このままでは会社を存続することがむずかしくなる」と懸念した同社は、働き方の抜本的な見直しに着手。業務の無駄をなくしてIT化を進め、短時間で成果を上げることが評価される制度に改めるとともに、営業と制作がより連携できる組織体制に改めた。これらの取組みの起点となっているのが、2014年から毎年行っている「全社員面談」である。新佐さんが社員一人ひとりから話を聞くことで、社内の状況や問題がいち早くわかり、その後の迅速な対応につながっているという。健康づくり企業に目ざせ生涯現役! 目注第4回株式会社浅野製版所(東京都中央区)慢性化していた長時間労働を改善し、創意工夫で健康を意識づけ 生涯現役時代を迎え、企業には社員が安心して長く働ける制度・環境の整備が求められていますが、生涯現役の視点で考えると、「社員の健康をつくる」ことは大切な要素です。 そこで本企画では、社員の健康づくりに取り組む先進企業の事例をご紹介します。※ 2021年9月現在経営企画部課長の新佐絵吏さん経営企画部課長の新佐絵吏さん

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