エルダー2021年11月号
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エルダー63・健康食品の抽選会毎年、新年会や新入社員歓迎会としてホテルでパーティを開催してきたが、コロナ禍で開催できなくなった。その代わりに、健康食品が当たる抽選会を始めた。同社では毎年社員に経営者のメッセージが印刷された「サンクスカード」が配布されている。各カードには異なる番号が記載されており、経営者が番号を引いて当たった社員が賞品をもらえる仕組みだ。はずれはなく、500円から4000円までのいずれかの賞品がもらえる。最も高価な賞品は産地直送野菜のセット。コロナ禍で従来の施策ができなくなるなかで、健康に絡めた施策に変更している。業務の無駄をなくすことで健康づくりに取り組めるように働き方改革や健康経営といった一連の取組みにより、一人あたりの月平均残業時間は2013年の37時間、2016年の27時間を経て、現在は6・5時間まで減少、45時間を超える社員は一人もいなくなった。退職者の数も、かつては少なくとも年に4〜5人いたが、この2年、長時間労働など社内の問題を理由とした退職者は出ていない。新佐さんは、「働きやすくなった」という声だけでなく、「この会社でずっと働きたい」と考えている社員が多くなったことを実感していると話す。また、健康経営で注目されるようになったことで、採用については常に紹介や問合せがある状況で、採用のコストはほとんどかからなくなったという。大企業に比べて資源のかぎられる中小企業は、健康づくりにマンパワーやコストをかけることがむずかしい。同社が健康づくりに取り組めた理由は、その前段として「無駄をなくす」目ざせ生涯現役! 健康づくり企業に目注取組みをしたからだと新佐さんは語る。「全社的に仕事の無駄をなくすことによって、健康に関する取組みを考えたり実施したりする余裕ができました。もし、過重労働の状況で働き方を変えないまま、いきなり健康づくりに取り組んでも、社員には受け入れられなかったでしょう。最近では、健康への取組みが社内に浸透したことで、社員からも健康に関する情報がいろいろと寄せられるようになりました。よさそうなアイデアであれば、とりあえずやってみるという、老舗でありながらベンチャーのような姿勢で取り組んでいます」。コスト面でも、福利厚生の一環として取り組んでいるため、健康づくりのために新たなコストはかかっていないという。同社は現在、社員が育児や介護が必要になっても働き続けられるよう、DX(デジタル・トランスフォーメーション)化で状況や場所を問わずに働ける環境づくりを推進している。今後の課題については「高齢化への対応です。退職者が減少したことで、社員の平均年齢は2012年当時の31歳から39歳に上がりました。なかには70歳を超える社員もいます。一人でも多くの社員がいつまでも元気で働き続けられるように、これからも新しいことにチャレンジしていきたいと思います」と語ってくれた。有志の社員によって作成された健康啓発ポスターと使用している様子有志の社員によって作成された健康啓発ポスターと使用している様子有志の社員によって作成された健康啓発ポスターと使用している様子有志の社員によって作成された健康啓発ポスターと使用している様子

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