エルダー2021年12月号
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2021.1224者からは信頼も得られる、やりがいのある仕事です。部長会議のような会議には出なくていいので、その点も気が楽ですね(笑)。今後も現状のまま働き続けていきたいです。ただ、現場では力仕事もあり、この先衰えも出てくると思いますので、その点は若い世代とカバーし合いつつ、持ちつ持たれつでやっていきたい」と、シニアリーダーとしての充実ぶりを語った。60歳超の社員の戦力化に向け新研修制度や健康経営の取組みを開始菊地管理本部長は、今後の課題について次のように指摘する。「近い将来、60歳から65歳の層が増えることになります。管理職の経験者が増えると、いまはうまく運営できている『シニアリーダー制度』についても、さまざまな考え方をする人が出てくる可能性があります。そこで、あらかじめ自身のキャリアプランを考えてもらうために、54歳の社員を対象にした『キャリアデザイン研修』を実施しています。年1回、外部講師を招き自らの働き方の棚卸を行い、自分の特性を知ることで、自らのキャリアプランに活かしてほしいと考えています」従来の定年60歳・継続雇用65歳の制度下でも、50歳の社員を対象に、お金や健康について考える「ライフプラン研修」を実施していたが、その内容を65歳定年制導入にあわせて変更するとともに、キャリアプランを考えるプログラムを追加した。また、もう一つの課題として、健康づくりをあげている。同社は以前から、健康診断で人間ドックを受診した場合の助成金支給(3万円を上限に半額助成)、産業医の面談、製造部門では保健師の講演などを実施しているほか、社員の健康に配慮して、社内の自動販売機に特定保健用食品を設置している。「高齢社員は、体力、健康、視力など加齢にともなう衰えに個人差があると感じています。そこで社員の健康維持・向上を会社でフォローしていこうと、健康経営の取組みをスタートさせました。当社の社員は血糖値と、飲酒率が高めという診断結果が出ています。社員には健康で長く働いてもらいたいですから、よくない数値を低減できるように、規則正しい生活やよい睡眠の取り方など基本的な事柄ですが、個々人が健康に興味をもってもらうような呼びかけをしています。そのうえで、がんをはじめとした病気に罹患した場合の支援や、治療をしながら働けるよう、社員にとって必要なことをサポートしていきたいです」(菊地管理本部長)最後に、高齢社員に期待することについてうかがうと、菊地管理本部長は「勉強して能力を伸ばすことに、限界はないと思っています。50歳を過ぎたあたりから『いまさら』と考えずに、あきらめないでほしいですね。これからの人生100年時代に60歳以降をどう生きるか、仕事を通じて、興味をもった分野に対して積極的にチャレンジしていってほしいですね」と話してくれた。菊地和信上席執行役員管理本部長兼人事部長(左)と松本公寿シニアリーダー(右)

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