エルダー2021年12月号
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エルダー25特集役職定年制のメリット・デメリット広島の発展に貢献して110年「広ひろ電でん」の愛称で親しまれている路面電車でおなじみの広島電鉄株式会社は、1912(大正元)年に前身の会社が創業。来年2022年に110周年を迎える。路面電車の利用者数は、1日平均約10万5000人に上る(2021︿令和3﹀年3月末現在)。国内最多の路面電車事業者であるとともに、中四国地方最大のバス事業者でもあり、電車、バス、不動産の3事業を柱として、広島のまちづくりの一翼をになっている。社員数は、1754人(2021年9月末現在)。平均年齢は47・3歳。約1200人が乗務員である。社員全体に占める乗務員の割合は3分の2に上り、輸送人員では電車がバスを上回っているが、売上げはバス事業のほうが高く、管理者を含む社員数はバスが約900人、電車が約600人とバス事業のほうが多い。また、バス運転士は中途採用が主力であり、平均年齢も高くなっている。60歳以上の社員数は年々増加しており、現在199人(出向者を除く)。定年は65歳で、役職定年を60歳としている。現在、40代の社員が約480人、50代が約600人となっており、今後10~20年間に多くの社員が60歳、65歳を迎えることになる。早い段階で定年を65歳に延長再雇用は最長70歳までに高齢者雇用については、比較的早い段階から取組みを行ってきた。資格と経験を有する運転士に長く活躍してもらうため、1991(平成3)年に60歳で定年退職した運転士を「シニア運転士」として65歳まで再雇用する制度を導入し(2001年に最長66歳までに延長)、2006年からは、この制度を拡充し、正社員の希望者全員を「シニア社員」として再雇用の対象とした。こうしたなかで契約社員として乗務員の採用を行っていたが、当初から労働組合より契約社員の正社員化が求められており、2009年に契約社員の正社員化に取り組むとともに、賃金制度の見直しを実施。さらに、シニア社員が増えるなかで、元気なうちは長く働いてほしいとの思いと将来の労働力不足に備え、2010年1月に、正社員の定年年齢を60歳から65歳に引き上げた。当時は勤続年数に比例して賃金が上がる仕組みであったため、これをあらため、60歳以降の定年延長と同時に60歳役職定年制を導入経験が活かせる場所で「シニア社員」が力を発揮広島電鉄株式会社(広島県広島市)事 例2

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