エルダー2021年12月号
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エルダー33特集役職定年制のメリット・デメリット本来業務に特化する独自の戦略で好業績を続けるトップランナー広島市信用組合は、1952(昭和27)年に創業。「地元のお金は地元で活かす」をモットーに、県内に35店舗を展開し、「シシンヨー」の愛称で親しまれている。職員数は434人(2021︿令和3﹀年3月末現在、役員を含む)。男女比は男性52%、女性48%で、ほぼ半々。年齢別にみると、20代44%、30代16%、40代13%、50代14%、60代10%となっており、若い職員が多い。金融機関の業務は多岐にわたるが、同組合の特徴は、投資信託や生命保険などの金融商品の販売を一切行わず、本来業務である預金と融資に特化した経営に徹していること。金融商品の販売手数料などの収益に頼ることなく、中小零細企業をはじめとする顧客の資金ニーズに積極的に応えることで、地域経済の発展に大きく貢献してきた。16年前から同組合を率いてきた山本明弘理事長は、「『金融機関は、雨で傘がほしいときには貸そうとしない。天気で傘がいらんときに貸したがる』といわれますが、リスクを取らない金融機関は信頼されません。私はよく、『融資はロマンだ』といいます。当組合は、地元の中小零細企業に頼りにされていて、利益の出ていないスタートアップ企業であっても、経営者の人間性や事業の社会貢献性などを見て積極的に融資します。そういう企業を支援し、成長させていくことが、メガバンクや地銀にはできないわれわれの使命だと思っています」と語る。こうした独自の経営を貫いてきた結果、2021年3月末現在で、預金残高は7446億円、貸出金残高は6478億円で、預貸率は87%に達している。実質業務純益は101億円で過去最高を更新、19期連続の増益となり、不良債権比率も極めて低い水準で推移している。日本格付研究所(JCR)の格づけは「A」で、見通しは「ポジティブ」。ちなみに、全国に145ある信用組合のうちJCRの格づけを取得経験豊富なベテランの意欲を維持し能力を活用するため役職定年制を廃止広島市信用組合(広島県広島市)事 例4本社外観

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