エルダー2021年12月号
36/68

2021.1234しているのは同組合のみであり、「A・ポジティブ」という格づけは、信用金庫と合わせたランキングでもトップ3に入るという。職員にも「現場主義」で向き合い働き方・処遇を改善この好業績を支えているのが、徹底した「現場主義」だ。「フットワーク」、「フェイス・トゥー・フェイス」を大事にして職員が常日ごろから顧客を訪問し、ニーズや困りごとを聴き、関係を構築している。この「現場主義」はトップが自ら率先して実践している。「私の車にはお客さまへの手土産用の饅頭が常に15箱積んであり、私自身がお客さまのところをふらっと訪れます。現場をみると、社長の人間性や事務所の整理整頓状況、工場のラインの稼働状況、職員の顔色など、決算書ではわからないことがみえてきます」(山本理事長)これにより、融資の可否を3日以内にスピード決裁することが可能となり、ほかの金融機関との差別化につながっている。この「現場主義」の考え方は、働き方改革にも通じるという。山本理事長は、現場目線で顧客と向き合うのと同じように、職員にも目を向け、職員がやる気をもって働ける環境を整えることに注力してきた。「私は、とにかくお客さまに寄り添った経営を心がけています。そのお客さまに対応してくれるのは職員ですから、働き方改革や待遇の改善を行い、職員が喜びをもって働けるようにと取り組んできました」(山本理事長)例えば、労働時間の面では、一般の職員は8時10分以降にならないと出社できないこととしたうえで、17時40分の定時退社を基本とする時間管理を徹底。働き過ぎの防止とワーク・ライフ・バランスの推進につなげている。処遇の改善も継続的に行っており、9年前には18万3000円だった大卒初任給は、いまでは、県内のほかの金融機関の水準を大きく上回る22万5000円にまでアップしている。また、食事手当、資格手当などの各種手当を退職金のベースとなる基本給に振り替えてきた結果、各人の定年退職金は500万円以上増加している。ベテランの力を活用するため役職定年制を廃止こうした働き方改革・処遇改善の一環として、2014(平成26)年3月に役職定年制を廃止した。それ以前は、部長は58歳、副部長は57歳、支店長・課長は56歳、支店長代理・課長代理・係長は55歳で役職定年となり、部長や副部長だった人は主任調査役、支店長・課長だった人は役職から離れ調査役などとなる仕組みだったが、定年(当時は60歳)まで役職を継続できるようにした。その理由について山本理事長は、「部長や支店長をになってきたベテランには、若い人にはない泥臭さがあり、やる気や根性も違います。50代で役職を外すのは、あまりにもったいない。そういう人たちのやる気を喚起することが大事です」と説明する。ベテランのになう役割としては、「彼らには、人材育成をしてもらいたい」(山本理事長)という点をあげる。スキルや経験を活かして自ら活躍するだけでなく、後進を育てる役割も期待しているのである。そうであれば、役職を解い山本明弘理事長

元のページ  ../index.html#36

このブックを見る