エルダー2021年12月号
44/68

2021.1242ます」(大石専務)これらは、社員の人柄によるところもありますが、キャリアパスにより社員から信頼される中間管理職が育ち、そうした管理職の日ごろのがんばりが支えになっているとも同社では考えています。高齢者は長所だけに注目して採用高齢で介護や福祉の仕事が未経験であっても、働く意欲のある人を採用しており、高齢者の採用にあたっては、「長所だけをみます。そこを活かし、伸ばしていける役割をもってもらいます」と大石社長。また、人生経験そのものを一つの能力ととらえており、若い社員に対して、「仕事は未経験でも人生経験は先輩」との考えを示し、高齢社員から学ぶ姿勢で向き合うことを伝えています。をし、施設内に掲示しています。渡部プランナーは「評価制度を導入し、高齢であっても目標をもって働ける仕組みを整えていること、また、面談やコミュニケーションを重視していることが、社員の働く意欲、活力を高めていると思います。さらに、『育いく孫まご休暇制度』を設けていたり、社員同士の話合いのなかでゆとりをもった働き方ができている、そのような職場環境が構築されているとの印象ももちました」と同社の取組みや風土を語ります。「育孫休暇は、孫の面倒をみる期間などに柔軟に適用できるものです。また、ふだんから社員同士が健康などを気遣い、休みが取れるようにするなど、お互いさまの気持ちで働く風土ができていると思います。若い社員もさりげなく高齢社員を気遣いますし、反対に、いまは産休を取る社員が続いていて、『それじゃ、おばぁたちの出番だね』といって高齢社員が張り切ってくれて助かってい役割を明確にし、目標に向かって成長定年後の賃金は、職務に変更がなければ減額とはならず、働きぶりによっては昇給の可能性もあります。同社では、正社員、パート・アルバイトそれぞれにキャリアパス※1を構築し、評価を賃金に反映しています。キャリアパスは高齢社員を含む全社員に示し、自己評価を含む360度評価を行い、年2回の管理責任者との面談により課題や成長のための方針などを話し合います。また、年1回は社長と面談を行います。専務取締役の大石泰たい嗣じさんは、これらの制度について、「以前は役員が評価を行っていましたが、公平性を重視し、6年前に評価制度をあらためるとともに、キャリアパス制度を導入しました。自分の立場、役割を明確にし、目標をもって意欲的に働ける環境が構築できると考えましたが、よい仕組みができたと感じています。評価結果がよければ、何歳でも昇給します。よい仕事をする社員に対して相応の対価を支払いたいという思いと、そうすることが地域の信頼の獲得につながるとも考えました」と制度導入の意図を明かします。毎年、社員全員が自分の目標を明確にし、その思いを漢字一文字で表して、思いを込めて書初め利用者の食事の世話をする平沢玲子さん※1 キャリアパス……どのような経歴を経て、どのような職務に就くかといった、異動や昇進のルート専務取締役の大石泰嗣さん

元のページ  ../index.html#44

このブックを見る