エルダー2021年12月号
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2021.1244はじめに1これまで1年にわたり、この連載を続けてきました。最終回の今回は、エイジフレンドリーな職場づくりに向けた大手企業の取組み事例を紹介するとともに、これまでの連載内容をふまえ、今後、高齢者が快適に働くために、事業者がすべきことを総括します。企業の取組み事例2企業における高齢者の安全確保の取組み事例として、JFEスチール株式会社西日本製鉄所、トヨタ自動車株式会社の取組みを紹介します※1。これらの事例は高齢者だけではなく、若い世代も対象としています。■事例1 JFEスチール株式会社西日本製鉄所JFEスチールでは、社の安全衛生方針「安全は全てに優先する」の「安全」と「体力」を結合し、高齢になっても安全で健康に働くために必要な体力を「安全体力Ⓡ」とネーミングし、「安全体力Ⓡ」をチェックするための測定ツールを開発しています。「安全体力Ⓡ」を把握するためのテスト(図表1)は、転倒、腰痛、危険回避、ハンドリングミスの4つのリスクを8つのテストでチェックします。テストの結果は5段階で評価し、評価4・5は「安全域」、評価3は「維持域」、評価2は「要注意域」、評価1は「危険域」と設定し、評価1・2になった「安全体力Ⓡ」の低い者には自覚をうながし、改善意欲を高めさせています。2014(平成26)年、40歳以上の健診対象者(1703人)に転倒の有無についてアンケート調査をしたところ、転倒経験者★ 前回までの内容は、当機構ホームページでご覧になれますエルダー 高齢社員のための安全職場づくり検索※1  中央労働災害防止協会「高年齢労働者が安全・健康に働ける職場づくり エイジフレンドリーガイドライン活用の方法」より 生涯現役時代を迎え、60歳、65歳を超えて、より長く活躍してもらうためには、企業が職場における安心・安全を確保し、高齢社員が働きやすい職場環境を整えることが欠かせません。本連載では、高齢者の特性を考慮した〝エイジフレンドリー〞な職場の実現方法について、職場の安全管理に詳しい高木元也先生が解説。今回が最終回となります。労働安全衛生総合研究所 高木 元也―エイジフレンドリーな職場をつくる―高齢社員のための安全職場づくり企業の取組み事例と今後に向けて最終回

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