エルダー2021年12月号
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エルダー3たが、ポリープが8個も見つかりました。 一つは1センチ台の大きさで入院して摘出しましたが、家族も驚いていました。原因として私の場合は食生活などの環境もあると思い、食生活に気をつけるようになり、その後数年間は毎年検査を受けました。やはり予防が大事なのです。女性も年を取ると圧迫骨折によって腰が曲がってくることがよくありますが、痛みが生じないこともあります。しかし放っておくとドミノ倒しのように全部骨折していくのです。そうなってからでは遅いので、その前に骨密度を検査するなど、いずれにしても40歳を過ぎたら予防的なことを心がけてほしいと思います。―予防の取組みとして、どんなことから始めるのがよいでしょうか。安保 一番お金がかからない予防法が運動です。ウォーキングやラジオ体操がおすすめですね。年を取ると背筋の力や股の力、バランス力が弱くなるのでウォーキングは最適です。ダラダラ歩くのではなく、歩幅をいつもより3センチ程度広げ、少し手を振り気味に歩くと、普通の距離を歩いた倍以上の効果があります。基本的にはじわっと汗をかくぐらいの運動がとてもよいのです。また、年を取ると前屈みになってきますが、そうなると筋力も落ちているので方向転換ができにくくなり、転倒の原因になります。その防止のためには、体幹を鍛える運動が大事で、少し捻ひねりの運動を加えたラジオ体操がとてもよいのです。できれば2日に1回、週3回ぐらいやる習慣をつけたほうがよいでしょう。運動をするとインスリンが分泌されるのですが、肝臓や筋肉などへのインスリン効果を示すインスリン感受性は、運動後の24時間程度しか持たないことが動物実験でわかっています。ですから、習慣化することが大切なのです。―高齢者に多い労働災害が、転倒災害です。先生の近著に『家でも外でも転ばない体を2ヵ月でつくる!』(共著・すばる舎)があ防医学の世界になります。予防医学をうまく行うために大事なのは「検診」、「食事」、「運動」の三つしかありません。定期検診では胸部のレントゲンや胃の検査と血液採取ぐらいですが、それ以外の検診も少し心がけたほうがよいでしょう。私は43歳のとき教授になりましたが、先輩の医師から先が長いから検査をしようといわれ、胃と腸の内視鏡検査を行いました。当時の私は便通もよいし血便も出たことはなく、すごく元気だったので、そこまでやらなくてもよいのではと思っていまし40歳以降は「検診」、「食事」、「運動」で〝予防〞を意識し生活習慣の見直しを

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