エルダー2021年12月号
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規則上の根拠がなければ、実施できないことがあります。降格には、厳密にいえば、①役職の単なる低下として行われるもので、職能資格や資格等級の低下(とそれによる賃金の低下)をともなわない場合には、使用者が裁量によって決定できる範囲は広いと考えられています。他方で、②職能資格や資格等級の低下(とそれによる賃金の低下)をともなう場合には、就業規則や労働契約上の根拠がなければ実施できないと考えられています。人事権に基づく降格処分について1多くの企業においては、懲戒処分としての降格の規定は定められていることが多いものの、人事権の行使としての降格処分が就業規則に定められていることは少ないです。一般的に、労働契約に基づき、使用者は、労働者に対する人事権を有しており、その裁量の範囲も比較的広いと考えられてはいますが、降格処分を実施しようと思ったときには、就業類似の裁判例をふまえると、使用者が抱かせた更新に対する期待の内容と、労働者が抱いている更新に対する期待の内容が相違する場合には、合理的な期待があるとはいえないため、雇止めによる労働契約の終了も視野に入れて協議することができるでしょう。ただし、降格が有効であるかという点には注意が必要です。A定年年齢を超えて採用した人材の降格、または雇用契約終了を検討するうえでの留意点について知りたい定年年齢を超える方を雇い入れ、責任のある職務をまかせたのですが、人との距離をとることにおいて不適切な点があり、セクシャルハラスメントを行っているとの申告もされています。そこで、一般職に降格することとしたのですが、雇用継続に関する協議において、降格の効力を認めないため、協議が整いません。このようなときに、契約期間満了時に契約を終了したいのですが、留意点を教えてください。Q1第43回 降格後の地位における合理的期待、職務専念義務に違反するメール送信と懲戒弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。2021.1248知っておきたい労働法 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制はA 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制はA& 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は&Q

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