エルダー2021年12月号
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2021.1252はじめに1退職時には、会社として社会保険(健康保険・年金)や雇用保険などの手続きが必要です。社会保険などは生活に直結しますから、退職後はどうなるかを退職日の1カ月前までには説明するとともに、退職後は間髪を入れずテキパキと喪失手続きを行うことが重要です。退職後の社会保険・雇用保険はどうなるのか2在職中は、あってあたり前の社会保険などが退職後はなくなり、退職者としては不安なものです。ですから、退職後はどうなるのか(図表)を早めに説明しておきます。●退職後の健康保険国民健康保険に加入する、または加入していた健康保険の任意継続被保険者となる、もしくは家族の健康保険に扶養家族として認めてもらうという三つの選択肢があります。それぞれに保険料負担額などが違いますから本人に選択してもらい、加入の手続きはいずれも退職後に本人が行います。国民健康保険は住所地の市区町村役場で退職後14日以内に、任意継続被保険者は加入していた健康保険組合もしくは協会けんぽへ20日以内に、健康保険の扶養家族は家族の勤める会社へ依頼します。●退職後の年金国民年金の加入義務年齢が原則60歳までですから、退職者が60歳以上であれば、退職後に厚生年金から国民年金へ変更して加入する必要はありません。ただし、退職者の配偶者が60歳未満の場合は、配偶者自身は国民年金第3号被保険者から第1号被保険者への変更が必要になり、それにともない新たに国民年金保険料を納めることになります。この場合の手続き先は、 生涯現役時代を迎え60歳、65歳を超えて働くことがあたり前となり、多くの高齢者が知識や技術、経験を活かして会社に貢献しています。とはいえ、そんな高齢者もやがて退職するときを迎えるもの。それまでの貢献に感謝を示し、気持ちよく退職をお祝いしたいところですが、ちょっとした行き違いにより“退職トラブル”が起こってしまうこともあります。本連載では、退職時の手続きやトラブル防止のポイントについて、社会保険労務士の川かわ越ごえ雄ゆう一いち氏が指南します。新連載退職時の手続きはテキパキ行う社会保険労務士川越雄一第  回1※ 退職時の標準報酬月額に所定の保険料率を掛けますが、標準報酬月額は30万円が上限です。標準報酬月額というのは毎月の賃金月額とほぼ同じです図表 退職後の健康保険・年金の保険料など退職後の選択肢負担する保険料など国民健康保険に加入する市区町村ごとに違いますが、基本的には世帯・加入人数・前年所得により計算されます在職時の健康保険の任意継続被保険者となる2年間加入できます。保険料は会社負担がありませんから退職時に負担していた額の2倍です。ただし、上限(※)があります家族の加入する健康保険の扶養家族になる保険料は不要ですが、扶養家族として認定を受けるには年収などの条件があります国民年金に加入する原則として60歳未満が加入しますが、保険料は1カ月16,610円(2021年度)です在職中健康保険厚生年金

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