エルダー2021年12月号
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株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之人事用語辞典■■■■■■■■いまさら聞けない 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者なら押さえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。2021.1254今回は就業規則について取り上げます。就業規則とは「労働者の賃金や労働時間などの労働条件に関すること、職場内の規律などについて定めた規則集」のことをいいます(厚生労働省「リーフレットシリーズ労基法89条」)。使用者・労働者ともに守るべきルールが明記されたものであるため、普段意識することが少なくても、非常に重要な存在といえます。就業規則の作成・届出が必要な対象就業規則は、労働条件について最低限守るべき基準を定めた労働基準法により、常時10人以上の労働者を使用している事業場での作成と所轄の労働基準監督署への届出が義務づけられています。ここでいう労働者にはパートタイムやアルバイトなども含まれ、一時は10人を下回っていても通常はおおよそ10人に達する場合には作成・届出義務がある点に注意が必要です。また、勘違いされやすい点ですが、企業(団体等含む)単位でなく一定の場所において、関連する業務が行われている単位である事業場ごとに作成する必要があります。例えば、営業所や店舗を有している企業については、単位ごとで常時10人以上の労働者がいれば就業規則の作成・届出義務が生じます。これは、事業場ごとに働き方が異なるケースがあり、働きの実態に沿ったルールが必要との考えに基づくものです。就業規則は使用者と労働者の双方が守るべきものであるため、就業規則の作成・変更は使用者主導で行うにしても、労働基準監督署に届出する前に、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する労働者代表の意見を聴かなければなりません。また、労働者がいつでも内容がわかるように各作業所の見やすい場所への掲示や備えつけ、書面の交付などによって周知することも労働基準法で定められています。なお、サーバーやWEB上にデータで就業規則を管理し、労働者が各人のパソコンを使っていつでも確認できる状態にするといった周知方法も認められています。就業規則に記載する内容次に、就業規則にはどのような内容を記載すればよいかをみていきましょう。事業場ごとの作成といっても、実務上は企業単位で可能な範囲は共通化して、事業場ごとに違いを持たせざるを得ない部分について、個別の内容を記載しているケースが多くみられます。では、企業が定めたルールがすべて就業規則の内容として認められるかといえばそうではありません。大前「就業規則」第19回

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