エルダー2021年12月号
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2021.1262「当社は営業職の占める割合が高いのですが、営業は車での移動が多く、歩く機会があまりありません。また、長時間の運転は腰痛にもつながります。こうした問題は、これまで本人まかせになっていましたが、会社でサポートできればと考えました」(倉橋社長)そこで同社は、社員に歩く機会を増やしてもらうための支援策を導入した。その一つがウォーキングシューズ購入費用補助である。「新しいシューズを買うと歩きたくなる」という考えから生まれたこの制度では、シューズを購入してその領収書を提出すると、五〇〇〇円の補助を受けられる。補助の条件として、3カ月後に社内イントラネットの掲示板に購入したシューズを使用した感想を書くことを義務づけている。これは、社内にこの活動を浸透させるためである。また、たくさん歩くには目的も必要だ。そこで、スポーツ施設や文化施設などの各種施設利用料補助制度も設けた。しかし、当初はなかなか利用する社員が増えなかったという。制度を普及させるため、2019年に倉橋社長が1年をかけて全国の事業所を回り、健康支援のための各種制度に関する説明をし、その後に食事会を行う「CHOディナー」を開催した。食事会の場所として、地元の野菜を使ったヘルシーな料理を提供している店を、各拠点に予約してもらうようにした。食事面でも健康意識を持ってもらおうという考えからだ。食事会では健康について語り合い、その拠点でもっとも熱く語っていた社員を拠点の推進役である「健康経営アンバサダー」にその場で任命した。倉橋社長に同行して全国を回った広報担当の紀きの寛ひろ之ゆきさんは、「社長から直接話を聞くことによって、ようやく『制度を利用してもいいんだ』という意識が広がり、利用者が増えるようになりました」とふり返る。倉橋社長も、「単に『健康経営に取り組みます』とアナウンスするだけでは浸透しません。全国を回って社員と直接話をすることで、健康経営に対する会社の本気度が伝わっていったのだと思います」と話す。支援策はウォーキングだけにとどまらない。同社には学生時代からスポーツ競技を続けている社員も多い。そのため、競技大会への参加費用に対する補助も行っている。また、健康診断の受診支援にも力を入れている。健康診断で任意のオプション検査を受診する費用や、人間ドックへ変更するための費用(35歳以上)の補助を実施。補助を利用してオプション検査を受けたところ、重篤な疾患を見つけることができた社員も数人いるそうだ。さらに、歯科検診や禁煙外来受診の費用補助も行っている。倉橋社長は歯学博士でもあり、社内で歯と生活習慣病の関係などについて自らセミナーも行っている。こうした制度を利用してもらうには、社員の陸上競技会に参加した社員とその家族。同社では、スポーツ大会などへの参加費の費用補助も行っている陸上競技会に参加した社員とその家族。同社では、スポーツ大会など「伊藤超体操」の動画は同社ホームページなどで公開している「伊藤超体操」の動画はCHOを兼任している倉橋司代表取締役社長公開しているCHOを兼任している倉橋司代表取締役社長

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