エルダー2021年12月号
65/68

エルダー63健康意識を高めることが欠かせない。そのために、毎年社員に自身の健康目標(「チャレンジ健康自己ベスト」)を立ててもらい取組みをうながしたり、社員から健康経営にかかわる標語を募集して優秀作品を社内に掲示するなどして啓発に取り組んでいる。また、年間を通じてもっとも健康づくりに取り組んだ社員を自薦他薦で募集し、「健康グランプリ」に選定している。健康経営の専任者を配置し社員の健康づくりを強化健康の取組みをより計画的に進めるため、2020年には専任者を配置した。専任者であるCHO室の山田庸よう平へいさんは、「会社が行う健康支援の取組みについて社内に知ってもらうとともに、各健康施策の運営を行っています。社員にいかに健康のための取組みに意識を向けてもらうかが課題です」と話す。社員のモチベーションを高めるために、CHO室が考案した取組みに、スマートフォンのアプリを利用し、期間を決めてウォーキングの歩数を競うイベントがある。個人戦とチーム戦があり、上位の個人やチームは表彰される。今年は少し趣向を変え、全社協力して世界一周と同じ距離の4万キロを歩くイベントを実施。普段の平均歩数から予想された2カ月を上回るペースで歩数が伸び、1カ月半で目標に到達した。社員の6〜7割がアプリをインストールしており、日ごろから継続して歩いている社員は約5割にのぼる。アプリ以外の活動計で独自に計測している社員もいるため、実際にはより多くの社員が日ごろから意識して歩いているようだ。また、コロナ禍で集合するイベントの実施がままならないなか、アプリを利用したイベントには、個別に取り組めるというメリットもあった。2021年には新たに「マルチポイントシステム」を導入した。アプリによる歩数計測など、健康にかかわる行動を取った社員に対してポイントを付与するもので、貯まったポイントは、翌年のサポート制度を利用する際に上限金額に上乗せして利用することができる。「健康的な行動によってポイントが付加されることで、健康にさらに前向きに取り組むようになるという好循環を目ざしています」(山田さん)さらに、社員向けに自社の家庭用治療器のレンタル制度も始めた。各拠点に複数台用意し、オフィスや自宅で使えるようにしたことで、社員から好評を得ている。自社に適した独自の健康支援に取り組む同社。倉橋社長は現在の状況について次のように語る。「社員の健康支援に取り組むようになったことで、会社説明会に応募してくれる学生が大幅に増加し、広報面でもプラスになっています。社内でも少しずつ浸透しているので、今後も根気よく続けていきたいと考えています。特に50代の社員には、健康寿命の延伸を意識してほしいと思います」同社は現在60歳定年制だが、65歳まで再雇用されて勤務する人が多く、雇用延長についても検討中だ。特に匠のノウハウが求められる技術職の現場では、ベテランの果たす役割が大きいという。同社の健康づくりの取組みは、シニアの活躍においてもプラスとなるに違いない。目ざせ生涯現役! 健康づくり企業に目注社内セミナーの様子社内セミナーの様子

元のページ  ../index.html#65

このブックを見る